片倉家の長女で、小十郎景綱の義姉、そして伊達政宗の乳母

数々の伝説を残し、数多の伝説を生んだその者

それは―――――――








『おるぁああああッ!!!』



グシャッ!



女子……であるはずのこの美女

小十郎景綱の義姉である片倉白名


女子とは思えぬ脚力と行動力、そして行動



『こんの愚弟がぁあああ!!!!いつまでちんたら寝てやがんだ!起きやがれ!』

「朝っぱらから弟を足蹴にする姉貴に言われたくねーんだよ!」

『あぁ?テメェはいつから私に物言えるようになったんだ!?』

「テメェはもう少し女としての行動をしろ!」



庭の兵士はやれやれと言った様子でその姿を見守る


小十郎と白名は別段、仲が悪いというわけではない


白名はただ一人の弟である小十郎の行く末が心配なのだ


そう、「アレ」の行く末が




『小十郎、あんたいくつ?』

「…………29」

『はーっ。その年で独り身ねぇ?なんなら私がもらってあげようか?』

「全力で断る」

『小十郎、あんた嫁の一人でも連れてきなさいよ。結婚結婚』




小十郎は齢29

白名は齢32


白名は既に嫁いでいるが、小十郎はまだだ


このままでは、片倉家に影響する




『小十郎、この白名に任せなさ「断る」なんでよ!?』

「テメェに任せたらやれあいつだやれこいつだと。面倒だ」

『あんた姉の心配をゴミ箱にポイするの!?』

「おう。お前が俺を心配したことなんて、今まで片手で数える程度じゃねぇか」

『そこまで少なくないわよ!?』




そんないつもと何ら変わりないやりとりをしていると、

障子の向こうから、どたどたと足音がした


白名は内心で舌打ちをした




「my honeyィイイイイイイ!!!!俺を何で起こしに来ねぇんだよ!」




奥州を治める若きカリスマ、伊達政宗の登場だ


白名はさっきと打って変わって、完璧な笑顔を政宗に向ける




『まぁ、政宗様!申し訳ございません。今愚弟……小十郎とお話をしておりましたの』

「何でいつも政宗様の前で猫かぶ……ゲフッ!!」

『まぁ、小十郎?睡眠不足ですか?』




瞬殺だ、瞬殺

と兵士が陰で今の白名の行動を囁きあった


ちなみに白名は小十郎の頭を目にも留まらぬ速さで打ったたいたのだ




「いつも小十郎にかまってばっかじゃねぇか!」

『ふふっ、政宗様は甘えん坊ですね。白名のお心は、常に政宗様の物ですわ』

「嘘こけ。政宗様、騙されてはなりません。姉貴は女子とは思えないような怪力を持って……ガハッ!!」

『小十郎?あら、寝てしまいましたわ』




寝た、といより寝されたが正しいのだが

踵落としで小十郎を気絶させ、政宗にニコニコと笑いかける




「honey、物は相談なんだが………」

『はい?』

「俺はそろそろお前との子供が欲しい」

『寝言は寝て言ってください。眠らせてさしあげましょうか?』

「sorry。jokeだ」




奥州最強白名、まだ走ります