ぐちゃり、と耳障りな音が耳を通過した

人の内臓か脳か



『政宗』



私は笑い掛けながら、政宗を呼ぶ


政宗は私の存在に気付き、飛びついて来た



「名前!名前名前!」

『はいはい』

「なぁ、褒めてくれよ!俺は名前のためにこんなに頑張ったんだ!」



微笑ましい光景とは裏腹に、辺りは死体と血でいっぱいだ


ある者は四肢がなく
ある者は頭部がなく
ある者は中身がなく


これを全て政宗がやったというのか


私が先程冗談半分で「血の海を見てみたい」なんて言った結果がこれだ



「………名前?」

『ふふっ。ありがとう、政宗。私のお願い、叶えてくれて』

「ああ!俺は名前のためだったら何でもする!」



どこでどう間違えて彼はこうなったのか

それは私は愚か、本人さえも分からぬだろう


別に今の生活が状況が状態が不服でも不満でもあるわけじゃない


ただ、これを彼の従者は友人は好敵手はどう思ってるのか



『ねぇ、政宗。貴方の大切な人たちはいいの?』

「ん?俺の大切なやつは名前だけだぜ?」

『貴方の従者や友人や好敵手とか』

「さっぱり意味が分かんねぇ。俺は名前以外見ていねぇし、他の奴等は道端の草と変わんねぇ」



酷いいいようだ

あれだけ大切にしてもらって、これは


私が出てきたせいであるが、罪悪感もなければ反省もしない


だって私は



『政宗は私のこと好き?』

「ああ!大好きだ!愛してさえいる!」

『そう』



彼にたくさんの愛情も哀情も捧げてあげてる、「いい人」なんだから

愛情を失った政宗に哀情を、哀情されたことのない政宗に愛情を




『私も政宗が大好きよ』

「Thank you!」



本当に嬉しそうな笑みを見ると私も嬉しくなる


やはり私はいい人というより悪人が似合うかもしれない


まぁ、それでも構いはしないのだが





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彩様へ
ヤンデレが楽しくて仕方がないです
女主人……よりも極悪人?
て、手直しはいつでもいたします!
リクエストありがとうございました!





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