政宗様も綾の方もいない午後

なんて清清しいのだろうか



「ひーめさんっ」

『あら、佐助殿』

「優雅に茶を啜る姿も絵になるねぇ」

『ふふっ。ありがとう。お世辞でも、そう言われると嬉しいわね』

「いや、お世辞じゃないんだけどね」



甲斐武田信玄の部下真田幸村の忍である猿飛佐助

以前何かの拍子に出会ったのをきっかけによく密通している

政宗様にバレたら、佐助殿の首も私の首も飛んでしまう

怖い怖い




『今日は如何なさいました?』

「平和だねぇ」

『そうでございましょうか?私の中では未だ乱世が続いておりますが』

「そりゃ姫さんは怪訝されてるし。ねぇ、甲斐に来なよ。少なくとも、こんな座敷に一人いるよりはマシだよ」

『いいかもしれないわね。でも、私は彼が苦手なの。熱くて元気で、すぐ裏切るような人が』




いつものように佐助殿から勧誘をされる

行きたいのは山々だが、どうも気が乗らない

やはり、彼の存在故だろうか




『佐助殿、茶は如何?』

「何茶?」

『ほうじ茶ですわ。一人ではとても飲み切れませんの』

「姫さん入れてくれるなら飲もうかな〜」

『ふふっ。すぐ入れますわ』




すぐ傍にある急須に手を伸ばす

急須の隣には大して好きでもないのに買い込んだほうじ茶が




『このように私なんかに会いに来て楽しいのですか?』

「楽しくなんかないよ?」

『では何故いらっしゃるのです?何も無いのに』

「姫さんがいるから」




何の迷いも曇りもない、純粋で一筋な瞳

私がいるから?


わたしがいるから、ここにくるというのですか、さすけどの。


そうであるなら、貴方は馬鹿だ




『私なんて何の面白味もありませんよ』

「そう?俺様は、姫さんといても楽しくはないけど、嬉しいよ?忍なんていう残忍なものを忘れられる」

『…………貴方は本当に、面白い』

「姫さんもね。俺様は、姫さんが好きだ。だからここに来るんだ。姫さんに会いに来てるだけ」




突然告げられた、心中

どう対処していいのか分からず、私は手に持っていた茶葉を零す




「あーあ、勿体無い」

『さ、佐助殿?それは…………』

「俺様嘘吐かないよ?」

『…………ありがとう、ございます』





こんな日々が続けばいいと思ってしまう私はなんて愚かだろう



否、愚かでもかまわない



ただ、私は正室も奥州も何もかもを忘れられるこの人を、失いたくはない



願わくば、彼と共に歩める日が来ることをいつか待つ





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雪月華様へ
ほのぼの……か?
もうこの二人くっついちゃえばいいよ←
ぜひくっつけてあげたいです
リクエストありがとうございました!





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