「政宗殿!よくお越しくださった!」

「あぁ……。後ろのは、蓮夜。俺の実姉だ。まぁ、姉っつっても、女中頭だけどな」

『はじめまして、真田様。政宗の姉、蓮夜と申します。しがない女中頭をしております。今回同席させていただいた理由は「きゃー!政宗じゃない!?」……後ほどお話いたします』



私の話を遮るように、いや実際遮っているのだが

現れた女、コレが、天女様というものだろう



「さくら殿!佐助から離れてはいけぬと申したはず!」

「ごめんなさい。窓から見えたの!政宗が!挨拶しようと思ったのよ!」

「あんたが天女様か?」

「うん!でもぉ、天女じゃなくて、さくらって呼んでほしいなぁ。あ、名前は琴平さくらよ」

「伊達政宗だ。よく俺のこと知ってたな」

「もちろん!私のいた世界では有名だったもの!」




下品極まりない言葉遣い

そんな言葉遣いで「私の」政宗に気安く話しかけないでもらいたいわ

下劣なミーハー女が




「……ねぇ、政宗ぇ」

「Ha?」

「あの女、誰?」



鋭い瞳を私に向ける

政宗の少し後ろに控える私が目障りなようだ


私は作り笑顔を浮かべ、天女様に挨拶をする



『はじめまして、天女様。政宗の姉の蓮夜と申します』

「政宗の姉ぇ?そんなの嘘よ」

『いいえ。私と政宗は同じ母から生まれております』

「私が持ってるゲームに、あんたなんて出てこなかったわよ!!」

『お疑いになるのも無理はありません。私は姉と申しましても、しがない女中頭をしておりますので』

「だから、嘘だって―――「琴平。それ以上姉上を愚弄し、否定してみろ。ここが武田の地でも、叩き切るぞ」

『やめさない、政宗。さくら様は、戸惑っておられるのです』



戸惑い、疑うのも無理はない

だって私は、“この世に生を受けた人間ではないのだから”


天女様のいうゲームや漫画に私は一切出ていない


もちろん、女中だからという理由もあるのだが




『それで、真田様。私から少しお願いがありまして』

「ん?」

『さくら様の身の回りのお世話。私に一任してはもらえませんか?』




少しでも接点を持ち、動向や思考を探りたい

そのために私はここにいるのだから




「えー!いやよ、私!」

「政宗殿、蓮夜殿は優秀な女中であられるか?それに、信用に足りるのでござるか?」

「姉上をなめてんのか?そこいらの女中と一緒にしてもらっちゃあ困る」

『如何でしょう?もし、私がさくら様を傷付けたり、怪しい素振りをしたときには、容赦なく殺していただいて構いません』




だって、そんなことしないもの

しないから、そんな口約束ができるんだ




「……わかった。蓮夜殿に任せる」

「幸村!?私嫌よ!」

「さくら殿は前々から付き人がほしいと申していたではないか」

「私がほしいのは忍よ!こんな得体のしれない女じゃないわ!」

「さくら殿。さくら殿のことはお館様より一任されている。故に決定権があるのはお主ではない。不満があるなら、上田城から出て行ってもらう」




………変ねぇ

真田様ってこんな感じだったかしら?


もっと、熱くて、天女様のいうことほいほい聞きそうな感じしたんだけど


今は、政宗や成実のように、歪んだ、歪な雰囲気だ




『ありがとうございます。ご安心ください、さくら様。私は何一つ口出しはいたしません。さくら様の行動には、もちろん』

「姉上、俺は真田と話してる」

『ええ。ではさくら様、行きたいところは、ございますか?』




もちろん、最後に来るのは、絶望と地獄だけど



歪んだ思いは、事足りてます

(歪んだ貴方の瞳には)
(何が写っていますか?)



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あれ、何故ゆっきーがヤンデレっぽく
もっと天女様loveにしようと思ってたのに
……まあ、いいか←

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