間抜けな天女様は竹中様と楽しそうに談笑していた


おっと、失敬

これは誤りだった


間抜けな天女様は一方的に楽しそうに竹中様に喋りかけていた


一方の竹中様はとても……すっごく嫌そうに天女様の相手をしている

申し訳ありませんねぇ、竹中様




「そうだ、天女様」

「んー?なぁに、半兵衛?」

「君のいた世界というのはどんなモノだったんだい?」

「私のいた世界?んー、とってもつまらなかったなぁ。こっちのほうが、とっても楽しいの!」




嫌われていることに気付かない、馬鹿な天女様

日ノ本を周り終わったら、地獄が来るとも知らないで


終焉(おわり)に目を丸くして、驚く天女様の姿なんて

想像しただけでも、楽しいではないか





「私はね、この世界の人をみぃんな救ってあげたいの!」

「それは大した目標だね」

「もちろん、私は半兵衛の病気だって治すわよ!」

「そ………れは、実にありがたいね………」




………これ以上は竹中様の身体に障る

そう判断した私は、天女様から竹中様を離す




『さくら様。竹中様の体調が優れないので、この辺りで……』

「ええ!?半兵衛、なんで言ってくれなかったの!?」

「………楽しそうに話す君を見てたらね………」




嘘だ。大嘘だ

欠片もそんなこと思っていない




「じゃあ、“またね”。天女様」

「?う、うん……じゃあね、半兵衛」




何か違和感を感じたのか

疑問符を浮かべつつ、竹中様に手を振る天女様


さぁ、次はどこへ向かわせましょうか



静かに沈む、希望の月

(貴方の楽しさが)
(ゆっくり沈んでいるのはご存知で?)


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