*××視点
*やっぱりヤンデレ


「ねぇ、ちょっと!」

『はい、なんでございましょう?』

「あんた私の配下なんでしょ!?だったら、私の言う事聞きなさいよ!」



庭から聞こえてきた、吐き気のする声
そして、澄んだ美しい金糸雀のような声

ひょっこりと顔を覗かせれば、いたのは天女と詠われる女と絶世の美女

苦笑と苦悶を浮かべながら、女に接待をする



『配下、といいますか。私は付き人でして』

「煩いわよ!黙って私の言う事聞きなさいよ!」

『………申し訳ありません』



そう言って、女に頭を下げる美女

なんて、なんて、おぞましい光景なのだろうか


天女?そんなこと、一体誰が言ったのか


あんなのは、遊女を抜けたクズに等しい下種な女じゃないか



「俺様」は偶々居合わせたように振舞いながら、女の前に出る



「やっほー、さくらちゃん。そんな怒鳴ってどうしたの?」

「あ………佐助!ううん、なんでもないの!ねぇ、蓮夜!?」

『はい。初めまして、猿飛様。政宗の姉でさくら様の付き人をしております、蓮夜と申します。よしなに』

「あぁ、うん。俺様は猿飛佐助。猿飛じゃなくて、佐助って呼んでよ」



もちろん、様なんて堅苦しいの付けないでさ

そう言えば、女は怒りを露にした表情を蓮夜ちゃんに向ける


そんな汚い腐った眼で、彼女を見ないでよ




『考えておきますわ』

「っ!蓮夜!!」



俺様と仲良く(というか話してるの)が気に食わないのか

女はあろうことか、彼女に向かって怒鳴りつける



「あんたは私のなんだから、余計なお喋りしてないでよ!!」

『ですが、猿飛様にお返事を返さねば………失礼かと思い』

「それが余計なのよ!ね、佐助!」



俺様に話を振られても、非常に困る

まぁ、俺様としては、彼女と話すことが、至福なんだけどなぁ



「え、そうでもないよ。俺様お喋り好きだし」



嘘だけど



「無理しないでよぉ。あんなブス、佐助には勿体無いよ!」



殺したい



「あ、佐助!城下を案内してよ!私、見てみたいの!!」



腕に纏わり付く、女の腕

吐き気がする



「蓮夜!あんたは、私の部屋片付けといて!ね、行こ、佐助」

「あ、うん………分かった………」

『では猿飛様、さくら様をお願いいたします』



一礼し、その場を去る彼女

残されたのは、俺様と卑しい雌豚


ぎり、っと奥歯を噛み締める


何で俺様が

こんな女を



「………佐助?」


いっそ殺してしまおうか?

彼女が、俺様を見るために

俺様の、幸せのために



狂う悲しみ、紅く染まる殺意

(彼女しかいらない)
(女は必要ない)


[] []