私は、生きる



滴り落ちる血は何を意味するのだろうか


辺りに散らばる屍のそう問いたい


むしゃくしゃしたからやった


そんな台詞、誰も信じやしないだろうけど



『………殺されたのは、私。殺したのは、奴』

「………雑賀の嬢ちゃん?」

『…………いや』



殺されたことに腹を立てているんじゃない

奴にナイフを刺されたことに怒っているんだ


あんな雑魚に私は殺された


気持ち悪い。吐き気さえする



「きゃっ………」



耳障りな声がした

案の定、いたのは美月あゆか


大量の屍を前に、どう対処したらいいか分からないらしい



「……あぅ………なん、で……やだっ………」

『何故いる。死地にわざわざ踏み込むなんて、馬鹿の所業だ』

「ま、ごいちと………仲直りしたくて………あゆは………」

『仲直り?別に喧嘩などしていないではないか』

「………え、」

『ただ、お互いがお互いを嫌っているだけだ』



私も貴様は嫌いだし


お前だって内心、私なんて嫌いだろう?


ほら、おあいこだ



『死地に踏み込んだことを、後悔しろ』



銃口を美月に向け、静かに


パンッ


引き金を、引いた



は、生きる