私は、嘘吐き



*拍手ログ
*シリーズものだから成り代わり短編に


ああ、まるで愚かな人間の行う所業ではないか

興味を持ち、
人を傷付け、
人を裏切り、

そして、人を殺す


それが、貴様等のはずではなかったのか

否、私に見せた貴様等の姿は、嘘だと言うのか

仮面を着け、私にそう振舞ったとういうのか

だとしたら、貴様等も私も愚かだ


貴様等を友と同士と同類と思った私は、何よりも愚かだ




「ね、孫市」

『……なんだ?』

「孫市は、あゆのこと嫌い?」



ああ、大嫌いだ、貴様など


美月あゆかは、未来から来たと言っていた


未来には物騒なことはあっても、戦なんてないと言った


だから、皆も武器を捨てて、平和にいこうよ


そう愚かな戯言をほざいた


皆武器を捨てぬと、そう信じていた


なのに奴らは、私の予想を信頼をあっさりと、捨てた




『何故そう思う?』

「だって孫市、あゆがいると嫌そうな顔するんだもん」

『そうか。そうだったのか』

「…?うん。だから、」

『すまない。私はこれから軍議を行う』




弱体化した日ノ本


だが、全員が武器を捨てたわけじゃない


猿飛佐助、片倉小十郎、石田三成、大谷吉継、毛利元就


彼らは、武器を捨てはしなかった


武器は己の腕だと言っていた


腕を自ら切り落とし、捨てるなど愚の骨頂


だから、あの女の世迷言に耳は貸さぬ


その言葉に、私は安堵した




「本当のこと言って」

『我らは嘘吐きだ。答えたところで、それが真か嘘か、分からないだろう?』

「そうだとしても、私は孫市の答えを聞きたい」




ここで答えを出して、一体どうなる

奴が日ノ本を味方につけ、私を殺すか?

それでも構わない

私は雑賀の頭領だ

戦で生き、戦で死ぬ

それが。雑賀の生き様





『そうだな。美月、私は貴様が、何よりも嫌いだ』




私は初めて、相手に本心を告げた



は、嘘吐き