痛い、痛いよ

父上、母上!!


「あぁ、あぁ。梵…………梵天丸………」

「義!入っては駄目だ!お前にまで…………」

「妾はよいのです、輝宗様!梵天丸さえ助かれば………」



障子の外で毎日のように繰り広げられるやりとり
聞き飽きたよ、母上

小次郎、お前はいつも一人で私を心配そうに見ているな
………いや、恨めしそうに見ている、か
母上を父上を取られ、自分には御付の侍女だけ
ごめん。ごめんね、小次郎。私のせいで………



「は、はうえ………姉上は………」

「小次郎、お前も祈るのじゃ。梵天丸が……妾の可愛い梵天丸が、無事になるよう………」

「っ…………」



小次郎、小次郎、そう我慢するな
母上に言え、「僕も見て」と

言えたら、そうはならないか
もし言えたとしても、現状は変わらないか




























































『母上………母上……』

「梵……?梵天丸………?」

『母上ぇ………』

「あぁ、あぁ!梵天丸………よくぞ生きて………」



ねぇ、母上
貴方は私のどこを見ているの?

私の右目、おかしいじゃないの



「……梵天丸……お前……右目は……」

『は、はうえ?』

「ひっ……何だ、お前!誰なのじゃ、お前は!」

『母上……?』

「妾の梵天丸はそのように醜くない!」

「義、止めろ!」

「返せ、妾の梵天丸を返せ!!!!」



梵天丸は、私だよ?
そんなに私は醜いの?

母上、母上




「近付くでないわ、この化物め!!!!」

「義!この子は梵天丸だ!」

「輝宗様!あなたまでこやつの味方なのか!?」

「義!」




私は、人間だよ
化物じゃないよ




『母上……』

「妾は化物の母ではない!妾の梵天丸はどこじゃぁああああ!!!!」




ねぇ、ここだってば!!!!
母上、母上、母上

私はここだよ



裏切りラプソディー

(私の痛みを理解しない女)
(皆皆死んでしまえ)