幸村視点


某はひどく愚かであった


その場の感情に身を任せ、彼女を傷付けてしまった


今更後悔したところでもう遅い


もう、全て、失ったのだから



「…………あんまさぁ、口出しはしたかないけど。いいの、旦那。竜の旦那、すんごい悲しんでたよ」

「………今更、どうしろというのだ。某は何も出来ぬ。彼女を突き放すことしか、出来ぬ」



思えば、彼女と出会ったのはあまりにも幼い頃だった

男のような振る舞いをし、行動をし、一見は男児であった

今も男児のように振舞っている

だが、彼女は寂しがり屋で誰かに甘えたいのだ

母親に嫌われた、でも、いつも笑みを振りまいていた


彼女は、某の憧れで思い人で敬う人物なのだ


なのに某は、某が浅はかで馬鹿で未熟なせいで、傷付けた


ああ、なんて愚かな



人政殿は自分の幼名を嫌い、自分の名を苦手とする

梵天丸は母親に付けられ、人政は父親に付けられた

だかこそ、傷付けないように、某は極力「政宗」と呼ぶ

本当は名を呼びたい

それすらも叶わないなんて、神はあまりにも不公平だ



「某は、愚かだ。いつだって傷付けないように努力はした。なのに、何故こうもあっさりと崩れ落ちるのだ」



こんな某を、彼女は嫌うだろう

こんな某を、彼女は怒るだろう

こんな某を、




彼女は笑んでくれるか?



愚かなセレナード

(水面に消えた泡のように)
(某の涙も静かに消えた)



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話がどうしても繋がらない
ので真田主従は女ってこと知ってることに
そろそろ、夢主と少女を絡ませたい