人は、人が死ぬ術などたくさんある


寿命が訪れたから死ぬ
病に冒されたから死ぬ
車に轢かれたから死ぬ
毒薬を飲んだから死ぬ
首をくくったから死ぬ



でも、生まれる術は一つしかない
なんて不公平な世なのか


きっと、生と死をつくった誰かは

高くから私たちを見下ろして叫んでいるのだ



―どいつもこいつも死んでしまえばいい―


私も、死ぬ

いつ死ぬかは分からないけど


さようなら、告げる相手はいないのだけど




『こんばんは、お兄さん。こんな遅くにどうしました?』

「こんばんは、お嬢さん。こんな遅くだし送って行くよ」




オレンジ色の髪が蛍光灯によって写し出される

綺麗だなぁ




『紳士的ですね。でも大丈夫。私の家はすぐそこですから』



嘘か真か

果たしてどうだろう



「立派な淑女ぶりだね。君の右目、赤い。とても綺麗だ」

『ありがとう。初めて褒められました。兄譲りなんです』

「お兄さんもこんないい妹さんもっていいね」

『誇りです、私の』



赤い瞳は好きだ

でも赤色は嫌いだ

それは、血を彷彿される



「俺様の、傍にいてくれない?」



何拍子おいて、やっと理解できる言葉



『………』

「俺様は一人なんだ。いや、正しくはこの世界は皆一人だ。だから、君がどうか俺様の傍にいてくれないか?」

『お受け致しますわ』

「ありがとう。俺様は佐助」

『私は霧峰一殊。何もお役に立てはしませんが、よろしくお願いしますわ』




私は、誰かの役に立てるのだろうか



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この広い世界にふたりぼっちのパロ
パロ………まで行くかなぁ
相手は佐助。これは譲れない
こう、ふたりぼっちの雰囲気が出せれば満足
書くの大変だけど楽しい


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