島崎と幽霊少女
「キミ、そんな所で何してるんです?」
声を掛けられるとは思ってなくて、ビクリと肩を弾ませる。
振り返れば糸目の男が立っていた。
間違いなく此方を見ていて、私に話し掛けている。
一体いつからそこにいたのだろうか、と驚いていると「いつも此処にいますよね」と口端を上げて言われた。
念の為に周囲を見回して、此処には私を除けば彼しかいないことを検めると口を開ける。
『何もしてないです。することがないので』
「なぜ此処にいるんです?」
『…そんなの…』
彼の言葉にフッと笑いが込み上げて、つい嘲笑じみた声が出た。
『私が此処で死んだからです』
「………なるほど」
私の返答に男は一瞬まじまじと此方を見つめるように顔を向けると、私の真似だろうかニヤリと笑ってみせた。
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