例えば重力に従って落ちていく林檎のように貴方に引力が存ずるとしまして、その安泰さに、わたくしはああ、とても虫酸が走るのです。自嘲する術では無く、息を吐く記憶さえも忘却しそうに、つらい心持ちで御座います。懸念をなさらず、わたくしの心が荒廃していく様を、出来たら傍観為さって下さい。どうぞ、この様な領域さえも差し上げます。……ほら、其方の行き先は常に楽園なのですよ、知っていましたか。


鼓動
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