キンギョが死にました
愛していました
うそです
ワタクシ愛という不確かなもの、理解出来ませんし信じたくもありませんの
それでもワタクシその時ばかりは情が揺さぶられ涙が出ました
ワタクシ愛という不確かなものを、信じたくなりました
ニンゲンは愛と性欲を切り離せないと、歌歌うどこかのアーティストニンゲンが仰っていました
ですがワタクシはソレを聞いても特に何も感じません
ワタクシのキンギョは愛も性欲も知りませんし言葉を話せません
ワタクシはそんな所を好んでいたような気が致します
体は満遍なく真っ白であり、とても綺麗な尾鰭をした魚でした
たった一束、そのキンギョだけが消えていったのです
(ワタクシ調べましたら、キンギョの数え方としては一把や一株などと言いますの)
その光景は、本当に気分が悪いもので、胸が苦しくて張り裂けそうでした
この水槽を割っても、餌袋を蒔いても、隣の子亀を殺しても、気が晴れないことは確かですし、何よりワタクシは何もしたくありませんでした
ワタクシとはまた別の、そこには何人かニンゲンが立っていました
そしてしばらくして、使用していない植木鉢にキンギョを埋めることにしました
ワタクシは一緒にそのお墓を作ってあげたニンゲンを、心の中で満腔の謝意を表することにします
ああ、ワタクシのキンギョがもしもニンゲンになってくれたなら、ワタクシはニンゲンを
愛しますのに
ああごめんなさい
これもどうか
どうかワタクシの
嘘だと思ってください、ね
110715