気味が悪い。止まれ、止まれよ心臓。心臓の速さで寿命縮めるくらいなら醜い人間なんかを俺は好ましく思いたくないんだ。

「って思ってたんだよ。いつも」
「心臓は止まったし死なない体にもなった。両方叶ったな。良かったじゃないか。」
ふう、と尾崎から白が排出された。煙草の臭いは嫌いじゃないが好きでもない。
「‥ふ、馬鹿か。本当に叶うと誰が思った」
「はは、誰も思わない」
ランプしかついていない暗闇の会話は意外にも楽しく感じれた。俺が暗闇で尾崎を見れるからか。馬鹿らしい思考だ。
「どの人間を好んで心臓止まってほしいと思ったんだ。清水の娘か」
「アンタだよ」
「え」
「冗談」
「餓鬼が大人をからかうなよ」
「それが生憎俺は一生大人にはなれそうになくってね。ただの笑い話だよ」
「‥ふん」
一応動揺はする男は髭も剃らず寝不足な顔で少し不細工だ。と言ったら怒るだろうか、笑うだろうか。バサリ。尾崎は突然立ち上がって視界が一気に白で覆われた。どこまでも続く白に近付きたくて堪らなかったが禁忌を犯すような気力は無いしもうじき戦争の終焉が見える。
「終わらせるぞ、全部」
「勿論。アンタが俺を殺してくれるんだろ?」
「ああ、楽にな」

楽だと?それは笑える話だな尾崎。


101223
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