11〜15 | ナノ
「たまには、シズちゃんからキスして欲しいなあ」
そうねだったら、シズちゃんは俺の胸にそっと唇を押し当ててきた。
ねえ、解ってやってるのかな。
「えー、なんでそこなの?」
あえて不満げに訊いてやったら、
「うるせえ。俺の勝手だろうが」と不遜な返答。
じゃあ……なんで、そんな顔してるの。
診断メーカーお題【2時間以内に5RTされたら臨也にシズちゃんが切なげに胸に所有のキスをするところを描き(書き)ます】
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【静誕連作1】
新しいメッセージが1件あります。
無機質な女性の声が聞こえたかと思うと、今度は途切れ途切れに聞こえる奴の声。
――……にやってんだ…これだから……シズ…嫌い……――
ああ゛? 聞こえねえ。
思わず携帯を握りしめてしまい、はっと手を放す。
ちッ、埒があかねえ。
俺の足は自然と新宿に向いていた。
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【静誕連作2】
「何しに来たの?」
薄く笑うあいつの顔は全くいつも通りだった。
いつもならばここでキレていただろう。だが、
「手前、あの留守電はなんだ」
まだるっこしい事は嫌いだ。ずばりと問う。
暫し眉を寄せた後歪む奴の顔。
「……はー、ほんっと……これだから君のこと嫌いなんだ」
――何言ってやがる。そんなの、俺もだ。
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ぐちゃぐちゃだった。思考も身体も顔も。
何も考えられない。それこそ目の前の男のことすら。
ただひたすらに凶悪で乱暴な欲を受け止め続けるだけの器と成り下がった静雄は、それでも気丈に眼前の男を睨みつける。
「はしたないね、シズちゃん?」
そう揶揄した男の方が余程はしたない表情をしていた。
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触れてきた指先は、予想していた冷たさはなくちゃんと温かかった。
当たり前だが、こいつにも血が通っているんだな、と思った。
あつい、熱い。熱すぎるぐらいだ。
「きもちわりぃ……」
咄嗟に口から零れた呟き。
だけど、目の前の男は意味を正しく理解したのだろう。綺麗に口端を吊り上げて笑ってみせた。