「あーあ、目の下まで真っ赤じゃん。汗もすげーし、精液くせーし、今のお前、すっげー惨めだなぁ」
「ひっ、うぅっ、ひっ、うーっ、う、ひぐっ」
泣き崩れる俺を組み敷いたまま、瀧本が髪を梳く。その手の平すら、もう払うこともできない。
「俺は言ったよな。使いどころを間違えんなって。
苛めから守ってやっただろ? 孤立するお前の隣にいてやっただろ? そんな俺が急にいなくなって、また惨めになっただろ?
いつだってお前は俺に縋ってこれたのに、なんで勝手に消えてんだよ意味分かんねー、お前なんなの? って、俺が聞きてーよ」
髪を梳く指の繊細さとは裏腹に、瀧本の声は低い。
「なんで利用しなかった」
「したっ、ら……っ、今度はたきもとが、おっ、俺を苛めんだろ、がぁ……っ」
「当たり前だろ。お前がそれ分かってんの知ってて優しくしてやったんだ」
悪びれた様子もなく言い放つ瀧本が、中に納まる指を増やした。強くなった圧迫感に足を閉じようとして、瀧本の腰にかかとがぶつかる。
「苛めてくるクソ共、騙そうとする俺、そんな最悪の状況でもお前がどう抜け出すか、俺はこれでも楽しみにしてたんだ。毎日毎日、飽きることなく甘やかしてやったんだ。
なのに勝手に消えるとか、そりゃねぇだろ。勝手に終わらせてんじゃねーよ」
「ふざっけ……っ」
「ふざけてんのはてめぇだよ、堀田。はじめに拒まなかったのはそっちだろ。利用したくなきゃ俺を拒めばよかった。なのにそれをしなかったのは寂しかったからだろーが」
核心を突くような戯言をほざき、引き抜いた指の本数を一気に増やした瀧本が奥を穿つ。瞬間、俺はあっけなく果ててしまい、痙攣する体から力を抜いた。
「だから、」
ずる……っ、抜かれた指の感触にさえ、放棄した体は健気に反応を示す。
「今度こそ間違えるな。
俺を利用してこの状況から抜け出してみろ。ただし逃げてみろ? 次はこんなんじゃ済まさねぇぞ」
な? と、俺の耳元で囁く瀧本の声が鼓膜を舐め上げる。
呆然と見上げる男の顔は、悪魔なんて表現じゃあもう、可愛らしい。
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