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食らわば皿まで - 13



*諏訪side**


「お前よく浜津とつるめるな、俺あいつだけはぜってー無理」

「? 浜津の知り合いですか?」

「いや? 全然?」

「そうですか、失礼しました。なら忠告しておきます。浜津は時々悪魔になるので要注意ですよ」


なんだこいつ、浜津が腹黒いことをちゃんと分かってんのか。その上でつるんでんのか。すげーな。


「ご忠告どうもありがとう。つかその口、どーした?」

「語るのも恐ろしいのですが、キレた浜津は悪魔なのです。悪魔は俺が辛い物を苦手としていることを知ったうえで、まさかの激辛煎餅をくれやがったのです」

「へー、そーなの」


なのに素直に食べたの、お前。馬鹿じゃん?

とは口に出さず、隣で唇にひーひー言っている古滝を眺める。どこにでもいる普通な男子高生。ただ見かけるたび、いつもなにをか食べている。くせに、すげー細い。


「なぁ、付き合ってほしーんだけど」

「? いいですよ?」


あえてどうとでも取れる曖昧な問いをした。すると目の前の馬鹿はやはり別の意味に捉えたのか、少し首を傾げて了承する。馬鹿だなコイツ。
そんな古滝にただ微笑み、すでに空き教室の前まで来ていた浜津に見つかるその前に、俺は窓からさっさと逃げた。
別に古滝がどう解釈しようがどうでもいい。ただ、付き合ってと言った俺に承諾した事実さえあればいい。あとは適当に言いふらして、それが浜津の耳に届けば俺のイラつきも少しは和らぐことだろう。

事実、俺を呼びだした浜津を前にしたとき、心底可笑しかった。

しばらく続けてやろうとたびたび古滝を呼び出すこともした。律儀にのこのこ着いてくる古滝は救いようもない馬鹿だが、餌付けのたびにご満悦な表情を見せているので良しとしよう。




 


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