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食らわば皿まで - 12



*諏訪side**


そんなセフレを置き去りにして、今度こそ帰路につく。しかし途中で見つけた浜津の姿につい視線が向いた。


「理由考えたほうがいいんじゃね? 正直、気持ち悪いよ、お前」


一体どういう状況なのか全くもって分からないが、浜津は菓子パンの山に埋もれた生徒に笑顔でそう告げていた。相手は驚いた顔をしているが無理もない。つーか俺だったら殴るわ。
しかし相手はあろうことか微笑み、


「ところで貴方は誰ですか?」


などと言ってのけたのだ。
正直怒っていたわけでもないし、寝取られた悔しさがあったわけでもない。持ち合わせることもないプライドが傷ついたわけでもないし、ただ、本当はイラついていた。
そんな俺のイラつきが一瞬で消え去る。今すぐあの菓子パンの山に埋もれ、平然と食べ続ける生徒にジュースの一つでもおごってやりたい。

と、そんなことを思ったりもしたが、帰って女の数人抱いたらそんなこともすっかり忘れていたのもまた、事実である。

俺と浜津はよく比較された。
系統は違えどイケメンの類。女に苦労せず、勉強も運動もそこそこできる。
ただ俺が下半身に緩いのに対し、浜津は性悪だからこそ意外にもしたたかだった。

だからそんな浜津が菓子パンの山に埋もれた生徒、古滝に構うようになるのを見てこれはチャンスだと思った。
もし古滝が俺のほうを慕ったら浜津はどう思うだろう? 悔しいに決まってる。

そんなくだらねー理由で、俺は古滝に近づいたのであった。


「帰んなくていいのか? あいつ、めちゃくちゃお前のこと探してんぞ」

「いいんです。今ここで奴に見つかれば地獄を見るのは俺です」


ある日の放課後、空き教室にて隠れていた(実際は隠れていたとは言えないが)古滝を見つけ、俺は話しかける。
廊下の向こうで古滝を探す浜津の声が響いていたが、なぜか唇が真っ赤に染まった古滝は頑なに拒んでいるので便乗しておこう。




 


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