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その翌日から、俺と内山は仁さんがマスターを務めるバー、カシストで働くことになった。

可笑しな話だが、仕事内容というのが上の階にあるクラブやバーに行き、そこにいる客をカシストに流す……なんていうものだった。
それはさくらとは違うのではないかと思ったのだが、仁さんいわく「とりあえず客入り悪くてよー。ま、頑張ってくれや」である。
詳しく聞けば、俺に見せてきたビラはなんと内山の手作りらしく、この世にたった一枚しかないんだよ? とか自慢していたが、俺からしてみればアホのような話でしかなかった。

とにかく、だ。

仁さんは客が欲しいらしく、内山はそれを助けたいらしく、俺は働きたい。つーか金を稼ぎたい。

そんな三人が意気投合するのは時間の問題でもなんでもなかったという訳である。


「んじゃ説明ね。B1、B2のバーも仁さんみたいに人を使って客の呼び込みしてんの。でもさぁ、B3のクラブがさぁ……そりゃもー、信じられないくらい人で溢れてて〜」

「つまりそのクラブの客をカシストに流せばいいんだな?」

「そういうことー」


教室にて作戦会議なるものをする俺と内山は、またもや内山手作りの変ならくがきだらけの紙を見ながら確認し合う。
クラブの名はデスリカ。恐ろしいことに兄が総長を務めるチームの溜まり場でもあった。


「でもさぁ、しゃーないよね〜。玲央さんたちの溜まり場だもん。女とか超集まってくんのはさー」

「いや、知らねーけど」

「ん、まぁいいけど。とにかく頑張ろー」

「おー」


なんとも互いにやる気もくそも感じられない返事である。



 


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