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カウンターに座る全員が目の前のお粥に手をつける。それを雄樹と志狼が物欲しそうに見ていたものだから、俺は仁さんと顔を合わせて笑ってしまう。


「……いつから、気づいてたの」

「なにをですか?」


閉店間近な店内、客もまばらでカウンターだけはむさ苦しい。俺はお粥の鍋を洗いながら応えた。


「……俺とノアが、敵じゃないっていつ気づいたの。そもそも玲央に嘘って、どういうこと」

「そうですね……取調室で新山さんが運びの写真を見せてきたときから、正直おかしいとは思ってました。まぁあのときは動揺してましたけど」

「そんなに前から……?」

「だっておかしいじゃないですか。どうしてあの写真を警察である新山さんが持っていたんです? ノアさんが仲間に撮らせて警察に流した? それになんのメリットがありますか? 玲央を陥れるため? まぁ考えられるメリットもあることにはありますが、そうじゃない。前提から違うんですよ」

「前提?」


お粥を食べながら首を傾げる司さんに微笑む。


「ノアさんが直接写っていない写真で、どうして俺とノアさんが接触したことを警察は知っていたんでしょうか」

「……玲央に裏を取ったんじゃないの?」

「なら、ノアさんと俺とのツーショットを撮るのがベストでしょう?」

「……」

「それは誰が撮ったとしても、そうであったはずです」


俺が運びに加担したと物的証拠になったあの写真。そこには俺と緑のカーデを着た男しか写ってはいなかった。
しかしそれは緑のカーデを着た男はノアの仲間で、鞄の中身が麻薬≠ナあることを知っているからこそ運びの瞬間≠ノなったのだ。

仮にノアさんが悪だったとした場合、彼が俺を、ひいては玲央を陥れる気があったとしても、その写真だけでは鞄の中身が麻薬であることを実証する証拠にはならない。

つまり、どれだけの事情があろうとも、鞄の中身を写していない時点であの写真はただの紙切れなのである。




 


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