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それから男――新山さんの(なぜか始まった)世間話に相槌を打っていると、時間を確認した彼はあっさりと俺を部屋から出してくれた。
飲酒運転は止めよう! と大きく印字されたポスターやらが並ぶ廊下に出た瞬間、すぐ横で物音がしてそちらを見ると、顔面蒼白な豹牙先輩の姿があった。


「豹牙先輩?」

「小虎っ!」


俺の姿を確認すると、豹牙先輩はこちらに駆け寄り俺の肩を掴むと、深く深く、それは深い息をつく。


「もしかして豹牙先輩、ずっと待っててくれたんですか?」

「当たり前だろーが……ほんと、聞いてねぇぞこんなん……」


聞いてない、とは司さんから、ということだろうか。
今はあえてそこに触れず、今もって真っ青な豹牙先輩の頭をぐしゃぐしゃと撫でてみる。不思議に思ったのか、こちらを見上げる豹牙先輩に力の入らない笑みを向ける。


「いつものお返しです。これ、結構気持ちいいでしょう?」

「……ばぁか」


俺の笑みが移ってしまったのか。豹牙先輩も力の入らない笑みを浮かべて俺の頭をぐしゃぐしゃに撫でてきた。
そんな俺らを見ていた新山さんが「おい仙堂、最近の若い子はああいう交流してんの? 俺もしたほうがいい? お前にしたほうがいい?」と呟くも、「もし同じことをしたら全力で蹴ります。股間を」と仙堂さんが答えているのが聞こえていた。




 


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