「それは……兄自慢っつーか……いや、うん、小虎が一番可愛いってことが分かった」
「そうだな。馬鹿二人に比べてこの無防備さったらねぇよ」
俺の答えに突っ込みを入れたそうにしている隆二さんが、とても困ったように俺の頭を撫で、それに乗ってくる豹牙先輩は、憐れみの瞳で俺に微笑んでいる。
な、なんだかとても間違った気がするのだが。
「……俺が悪ぅございました」
そんな哀愁漂う空気の中、なぜか悲痛そうに顔を歪めた司さんが玲央に頭を下げている。
と、いうのに玲央はそんな司さんも、豹牙先輩も隆二さんも眼中にないのか、呆然と俺だけを見つめていた。
「いや、小虎、俺も悪かったな。司さんが豹牙は色っぽいけど小虎はまだお子様だって言い出してな、それであぁなったんだよ」
「え? あ、でも俺、本当に子どもですし?」
「あー……うん、いいんだ。小虎、お前はそのままでいいんだ」
未だ頭を撫でてくる隆二さんが、もう止めてくれと言わんばかりの悲しい声で首を振る。
なぜだろうか。まるで俺が可哀想とでもいうこの空気……納得がいかん。
「あの、本当に自慢なんですよ? 全部自慢ですけど、でもあの寝顔が見れるのって、弟である俺だけなんですよ?」
「小虎……お前……っ」
「やばい……なんだこの眩しさ……っ」
うっ。なんて言いながら隆二さんと豹牙先輩が目頭を押さえた。司さんにいたっては同情に満ちた目で玲央の肩を叩く始末である。
なんだか悔しくなって、俺は未だ呆然とこちらを見つめる玲央の前に立った。
「全部自慢だけど、寝顔って……ダメなの……か?」
「……もういいから、ちょっと黙ってろ」
はぁー、とためいきをついた玲央が、自分の目元を手で覆って俯いた。
その姿に司さんがぽんぽんと肩を叩き、「悪かったな玲央、俺が悪かったよ」なんてブツブツ囁いている。
そんな姿に納得のいかない俺は、両隣に立つ隆二さんと豹牙先輩がまた顔を見合わせ、「なにこの可愛い生き物」と慈愛に満ちた瞳で俺を見ていたことなど、まったく気づくわけもなかった。
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遅くなりましたが、たつきさんへ捧げます。
リクエスト内容は「小虎にゲロ甘な玲央か、司と玲央の弟自慢」でした。
面白そうだと思い、弟自慢を書いたつもりが兄自慢になってしまいましたが苦笑
リクエスト、ありがとうございました!
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