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「と、いうわけで! しろーはトラちゃんを巻き込んだ罪で、トラちゃんは少しも俺に相談しないし、頼りにもしない罪で、そんで俺は、俺はなんにも気づけなかった罪で、焼酎一気飲みじゃー!」

「「……え?」」

「おっしゃー! コップ持てやぁ、野郎どもっ!」


ノリノリな雄樹がコップを掴んだ。
慌てて俺と志狼もコップを掴めば、雄樹が「はじめっ!」とか掛け声らしいそれを上げる。

断れる雰囲気でもなく、三人で焼酎一気飲みを開始するが……なんだこれ、美味いなちくしょう。

ごく、ごく、ごく。
高校生三人の喉が上下に動くたび、おいしそうな音がその場に落とされた。
カァアンッ! コップをカウンターに置いた雄樹がぷはぁっ! と息を漏らす。
志狼は平然としていたが、俺も雄樹のようにぷはぁっ! と息を漏らしていた。


「つーわけで! もう暗い話は終了じゃー。俺は仕事に戻る! 以上!」


そして、雄樹はけろっとした顔でその場をあとにし、普段となんら変わらない姿で仕事に戻ったのであった。
残された俺と志狼は呆然と、それこそまさに台風が過ぎ去ったあとのような静けさに包まれていたが、どちらからともなく笑い出した。


「あははっ、ほんと、アイツ、あっほだなぁ……っ」

「ははっ、さすが小虎のダチだよね、面白い」

「あん? しろー、お前のダチでもあんだからなぁ? 分かってるかぁ?」

「ん? あー、そっか。うん、そうだね、そうだった」


ふわふわと、漂うこの柔らかい空気は雄樹に似ている。
いつもアホなことをしては俺を困らせ、それ以上に温かで優しげなものをくれる、そんな雄樹そのものだ。
きっと雄樹が歩いたあとには花でも咲いちゃうくらい、やつには不思議な力が備わっていても可笑しくはないだろう。


「……なぁ志狼、俺たち最高のダチ、いるな」

「…………そうだと、いいな」


雄樹がわざわざ作ってくれた空気を壊す気はないと、俺と志狼は互いに作ったグーの手を、コツンッと重ね合わせた。




 


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