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「俺、本当は怖いんだ。殴られると、蹴られると、痛いって知ってるから、暴力はまだ、怖い。
だから玲央が不良チームの総長として喧嘩するのを見て、思い出したくもないことを色々思い出したし、必要もないのに重ねて見てたんだ。
でも、玲央は、俺の兄貴は理由なく暴力を奮う人間じゃないって思いたかった。

前に不良たちがカシストで乱闘したあのときもさ、雄樹の頬引っ叩いたとき、あれは自分のためだった。
玲央が見て見ぬふりするわけねぇだろって、俺の友達である雄樹がんなこと言うわけないだろって。

俺はさ、玲央が言った通り、自分のことしか考えてない。他人を思うふりして、結局は自分の我を通そうとずる賢く生きてんだ。


でも、そんな俺にも雄樹は笑いかけてくれる。その恋人の仁さんも、一歩引いたところから見守ってくれる。カシストにはお粥目当てに来てくれる不良だっている。
俺はそういう人たちに囲まれて、優しさに触れて、だから玲央と普通になりたいって今まで頑張ってこれたんだ。
逃げ場所があったから、俺は玲央に冷たくされても平気な顔して、でも必死に立ち向かうことができた。

でも、そんな逃げ場所であるみんなにも、人と比べることができない過去があるんだって、最近分かってきた。
傷の舐めあいなんてしないけど、支えあって生きてるんだって、最近分かったんだ。

みんな、一人で自分の為に生きてるけど、でも絶対に一人で生きてるわけじゃないって、知ったんだよ」


自然に浮かんだ笑みをそのまま玲央に向ければ、金の獅子は髪を輝かせながら穏やかに微笑んでいる。


「カシストで過ごしてるとさ、不良たちがそんな過去に押しつぶされそうになって、辛いって、嫌だって、そう叫ぶ場所がないから非行に走るんだって、話してるうちに分かっちゃうんだ。
ほどされたわけじゃねぇけど、結局それって、俺と一緒だろ?
家とか、学校とか、バイト先とか、とにかく色んなところで自分の居場所が見いだせなくて、辛くて悲しくて、どこにぶつけていいのか分かんない憤りを発散させるために、夜の街ほっつきあるいたり、同じようなやつ殴ったり、喫煙したり、浴びるように酒飲んだりするんだろ?

それってさ、両親亡くして、一人になりたくない俺が玲央にすがるのと一緒だろ?」

「……そうかもな」

「うん、だから、だからさ。
俺、正直怖いけど、でも、そんな不器用な生き方して、なのに人の心配したりするお人好しな不良が、玲央たちが、好きなんだ。――好きに、なったんだ」


はぁっ、と漏れた息が重い。けど目の前にいる玲央が笑ってくれるから、俺の思いは止まらない。




 


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