Immature
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「シリウスと付き合うことになったの!」
「えーっ本当!?ルーシィやるじゃない!」
「シリウス、今彼女5人いるって噂よ」
「8人じゃなかった?その8人にエリザも入ってるのよね?」
「うん……」
「大丈夫よ、最終的にシリウスはエリザを選ぶわ!」
「シリウスに告白しちゃった!」
「うっそ!返事は!?」
「それがね……オッケーだったの!!」
「きゃー!おめでとう、リーラン!」
2年前の、クリスマスが近付いて来た時期。
あっちもこっちもどっちもそっちも、彼氏彼女カップル云々の話で盛り上がっていた。
その中でもピックアップされていたSSRは、我が婚約者のシリウスである。
どうやらシリウスは彼女を8人も作っているらしい。8人もどうするんだ。せめて5人だろう。
なんて道行く人々の話を盗み聞きしながら、夕飯を食べるべく大広間に向かっていると。
「先輩の婚約者、酷いやつですね」
ニコニコと、嫌味な笑顔を浮かべたバーティが話し掛けて来た。
それはもう突然。なんの前触れもなく。
私はバーティの名前も顔も知らなかったので、強いて言えばローブの色で同じスリザリンだと気付くことしか出来なかったので、ぱくぱくと言葉が出てこなかった。
「僕はバーテミウス・バーティ・クラウチ・ジュニア。純血なんだ」
何故か自己紹介が行われているらしい。
バーテミウス……バーティでいっか。バーティ・クラウチ……クラウチって、確か聖28一族にいたような。
成程。厄介だ。
「……私は」
「ナタネオードトワード。知ってる、あのブラック家長男の許嫁」
知られてた。
というかなんで声掛けてきた。
「なんで声掛けてきた、っていう顔してる」
開心術かな?
「僕はただ、婚約者に見向きもされない先輩が可哀想だなあって思ってさ」
「む……余計なお世話。……声もでかい」
「っと、それは失礼」
「で、それが何か?」
「先輩、」
「ナタネでいいよ」
「……ナタネ、寂しくない?」
「も〜〜〜めっちゃ余計なお世話」
「そう言わず。僕はね、聖28一族であり、東洋の血が色濃く流れている、純血なのに純血主義じゃないオードトワード家の長女……ナタネに興味があるんだ」
へえ……
「へえ……」
「友達になってよ」
ええ……
「ええ……」
「どうせナタネ、日々疑心暗鬼状態で過ごしてるし、性格も性格だから友達少ないでしょ?」
「も〜〜〜めっちゃ大正解……」
「これからよろしく」
「コミュニケーションって難しい……」
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