用具委員会 平太視点







委員会。
あんまり好きじゃない。確かに。
きれい好きの僕にはちょっと地獄。
用具倉庫は埃っぽいし、しんべヱは鼻水たらすし、喜三太はナメクジを放し飼い。
でも、そんな委員会で、とても楽しみなことがある。
それはしんべヱがたまに持ってきてくれる南蛮菓子じゃなくて、食満先輩が連れてってくれる夏祭りでもなくて。


今日の委員会は、授業が終わったあとの晩御飯前。
この時間に委員会があると、僕たち一年生はもしかしてって言う期待でちょっとそわそわする。
「ねぇねぇ平太ぁ」
作兵衛先輩が直した備品を棚においていると、喜三太がこっそり僕に近づいてきた。
「なぁに、喜三太」
「今日、早く終わりそうだよねぇ」
「そうだねぇ」
見渡すと、作兵衛先輩は片付けに入っていて、食満先輩としんべヱは最後のひとつ、生物委員が壊した虫かごを直していた。
「今日、あるかなぁ」
「あるといいねぇ」
くふふ、と二人で笑うと、鼻に埃が入ってむせた。
それがちょっと、大きな音だったみたいで、喜三太があわてて大丈夫?と背中をさすってくれる。
それに大丈夫だよ、と返すと近くに心配そうな作兵衛先輩が立っていた。
「大丈夫か平太。何がそんなにおかしかったんだ?」
心配そうなのにどこかニヤニヤしている先輩は、トントン、と軽く僕の背中の上のほうを叩く。
それで咳が収まった僕は、喜三太と顔を見合わせた。
「今日はどうかなって、平太と話してたんですぅ」
喜三太が言うと、ああ、と思い当たったように作兵衛先輩が言って、腰を下ろして僕たちの顔を覗き込んで、ちょっとだけ悪い顔をした。
「どうかな〜?お前たちが食満先輩を手伝って早く終わらせないと、今日はもうないかもなぁ〜?」
「ええ!」
「はにゃ!」
驚いて声を上げると、喜三太も声を上げた。
「ほら行け!先輩を手伝って来い!」と大きく笑う作兵衛先輩に背中を押され、食満先輩としんべヱの元へ走る。
僕たちがつくと、もう先輩達は虫かごを直してしまっていた。
「お?どうした二人とも、走ってきて。」
「食満先輩!僕たちもう手伝うことないですかぁ?」
首をかしげる先輩に、喜三太が元気よく手を上げると、食満先輩が笑って僕たち二人の頭をなでた。
「はは、えらいな。でもこれで最後だ…あ、じゃあ、しんべヱと三人で出来上がった虫かごを生物委員会に返してきてくれないか?」
「はーい!」
「はい」
「ええー、僕もうおなか減ったよ〜」
もごもごいうしんべヱに、喜三太が「行くよっしんべヱ!」と引っ張ったので、僕たち三人は生物委員会に行くことになった。
喜三太が用具倉庫の奥にいる作兵衛先輩に「行ってきまーす!」と声を掛けると、おくから先輩が「もう壊さないようについでに注意してきてくれよ!」と言った。
ぐずるしんべヱを、喜三太と僕で引っ張って、なんとか生物委員会に渡して、竹谷先輩に釘をさして(喜三太が)、孫次郎に手を振って用具倉庫まで戻ってくると、食満先輩と作兵衛先輩はちょうど倉庫の鍵を閉めているところだった。
それに気がついて、しんべヱが「終わりだ!」と嬉しそうな声を出したから、僕たちは反射のように先輩達二人に向かって走り出す。
「おお、おかえり、三人とも」
「終わったぞー」
最後に走ってきたしんべヱまできっちり受け止めた食満先輩が、よし!と手を叩いた。




「風呂に入るぞ!」














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