現パロ 三之助視点




理解とは程遠い

俺には孫兵の言いたいことがよくわからなくて、聞き返した。
孫兵は親切にも、もう一度、今度は身振りを付けて俺に説明してくれた。

「だから、蛇が欲しいんだ。蛇。大きくて、僕の首に巻けるくらいの。」

「…はぁ。蛇。」
意味がわからなくてオウム返すと、孫兵は頷いてどこか俺でない遠くの方をみつめた。
「そう、蛇。…ただ、巻いたまま歩けなきゃ駄目だ。いつも一緒にいられるように。あと毒蛇が良い。」
「…ふぅん」
「名前もとうに決めているんだ」
ほう、と想像でもしているんだろうか、やけに嬉しそうに息を吐いて、それからがっくり肩を落とした。
「どうしても欲しいんだ、三之助。僕は。」
「…どうしても?」
「あぁ。」
「家の人はなんて?」
そう聞くと、あからさまに泣きそうな顔をして首を振った。
「構わないって」
「そう。……え?じゃあいいじゃん、あれ、うん、飼えばいい。」
動作と矛盾した返答に一瞬わけがわからなくなったけど、ならば何も問題は無いはずだろって、
「だが…自信がない」
「なんの」
「…」
それには答えないで、不安げに目を揺らすとゆっくり口を開いた。
「どうすればいい、三之助」
「…はぁ。何が」
「蛇が欲しいんだ。」
「…ペットショップ行けば」
「そうだな」
適当に促しちまえって毒蛇なんかそう簡単にペットショップに売ってないだろうに帰りたくて言うと存外あっさり頷かれた。詰まってしまう。
馬鹿だなぁ、孫兵は頭がいいからペットショップなんてもうとっくに考えていたはずなのだ。
でも俺の意見は一つしかなかった。
ペットショップ行けば。
…それ以外俺には思いつかない。
「左門と行ったら見つかるかもしれないよ」
あいつの強運は引くくらい凄いから。
「…そうか」
頷いた孫兵のフードが揺れて、俺の色が違う前髪も揺れた。
孫兵の首には何もいやしないのに。

「孫兵」
「なんだ」
「なんで俺にそんなこと言ったんだ?」

作兵衛に聞いても左門に聞いても、誰に聞いても言うだろう。
俺は相談事に向いてない人種だってこと。
俺自身でさえそう思う。
ああ、この性格を先輩はなんと言っていたんだっけ。

「三之助がたまたま隣にいたから」
俺の疑問に、なんともないように答えたので俺は思わず息がもれた。
「…それだけか?」
「そうだが?」
他に何か理由がいるのなら考えるけれど、と譲歩されて、譲る方向を間違えているよとは俺は言えなかった。
孫兵の言うことは、理解出来ないことが多いのだ。















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三之助と孫兵
噛み合わない2人。

宮上 101107
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