現パロ 




「だからさっきの道曲がれって言ったんだよ俺は」
助手席でむすっとしているのは文次郎で、ハンドルを握る俺を胡散臭そうに見ていた。
ピクリとも動かない高速につかまった俺たちは、まぁさっきの文次郎からもわかるようにイライラしていた。
俺に任せとけよと言ったのは俺で、本当だろうなと疑った文次郎を得意の食満スマイルで(食満スマイルって何だ)跳ね返してそのまま高速に乗ったら案の定つかまってしまった。
くっそうなんだよ、みんなでおんなじ高速乗りやがって日本人め、アイデンティティをしっかり持てよ!と心の中で叫ぶけど、結局つかまっている俺が言えた事ではない。ちくしょう。
「うっせぇな。お前だって高速乗ったほうがはえぇって言ってたじゃねぇか」
「ちげぇよ、もっと先で乗れって言ったんだよ、俺は」
窓枠に手をついて頬杖を突いた文次郎はもう俺を見るのもやめたようだ。
ちょっと悔しくて、手を伸ばして缶コーヒーに手を伸ばす。
間違えて買ったブラックにイラッとした。いや買ったのは俺だけど。
「にげぇなちくしょー」
独り言のように言うと、ケッとこっちを見ないまま文次郎が反応した。
「お前が買ったんだろうが」
「うっせえな!わかってるっつうの」
「全然うごかねーし」
「だから悪かったって言ってんだろ」
「いつ言ったんだよ!お前が!」
「さっきから頭下げてるだろうが!!」
「どのへんでだよ!」
シートベルトをいっぱいいっぱいまで伸ばしていつものようにいがみ合った俺たちに、止めてくれる人はいないなので、同時にため息をついた。
顔をそむけて文次郎は外を、俺は前を向いてハンドルを握りなおした。
全く、相変わらず動きをみせない車の大渋滞にため息をついた。
「くそっ」
「いつ着く予定だったんだよ」
文次郎が言うのをバックミラーで確認すると、相変わらずむすっとしまま窓の外を見ていた。
ちくしょう、久しぶりに会ったのにな。グーグルのあほんだら・・・高速のったら早いんじゃないのかよ。
「ひ・・・昼前には」
「・・・・・・夕方だがな」
ふん、とため息をつかれて、くそ、と思う。
イライラするのはこっちも同じだ。昼飯も食べてねぇし、こんな狭い車内の空気はギスギスしていやがるし。
「だから俺が運転してやるっていったのによぉ」
ぶつぶつ言う文次郎に目をやって名前を呼ぶ。
「おい、文次郎」
「あ?なんだ」
前を確認する。
まだまだ動きそうになかった。
がっと肩を掴んで、ぐいっと引き寄せた。
「な!にすんだ」
肩を掴んだ手とは逆の手で、何かを言いかけた文次郎のあごを掴んで、唇に思い切り噛み付いた。
「むぅ!」
声が俺の口の中で文次郎の声がこもるのがなんかエロいな、と思った。
がりっ、と口の端を噛む。口の中が血の味がした。
文次郎がガン、と俺の肩の辺りを殴りつけたので、口を離す。
口を離す時にぺちょ、と音がした。
「がたがた言うな。黙って待っとけ」
耳元で言って、自分の口の端についた文次郎の血をぬぐう。
「な…な…!」
口の端に流れる唾液と血をぬぐいながらわなわな震える真っ赤な顔した文次郎に、わかったかよ、とにやりと笑う。ああ、いい気分だ。
「し、し、知らん!!」
ぶんっと勢いをつけて顔をそらした文次郎はもうこっちを見なかったけど、首元まで真っ赤で、それがなんか凄くエロいと思った。
うし、もういいや。動き出したら家かえる。つれて帰る。
「おし!」
いきなり気合を入れた俺にびくりと文次郎が反応したけど、それでもこっちを向かなかった。
車の中ですること


















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もっとイライラしてる二人を書きたかった。くそう。

宮上 100612

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