現パロ 








「…と言うわけで、雨が降っているわけだが」
いつものように帰ろうとした作兵衛、左門、三之助は、学校の玄関、昇降口のところで3人仲良く空を見上げていた。
雨は止む気配を見せず、靴箱はじめじめしている。
「なんで作兵衛そんな説明的なんだ…」
「まぁ仕方ないだろ」
「雨やまないなぁ」
「おい、数馬帰ったか?」
「?知らない、なんで?」
「数馬が帰ったら雨止みそうな気がしねぇ?」
「あいつの不運は天候をも動かすのか…」
「…とにもかくにも、空は雨が降っていて私たちにはこのさっき隣のクラスでパクったこの一本の傘しか無いと言うわけだな」
左門がそう言って掲げたビニール傘は、2人はゆうに入るだろう、大きな傘だった。
「そうだな。なんでちゃんと母親の言うこと聞いとかなかったのかなぁ俺。朝言われたのに。」
作兵衛が首を振って大きくため息をつくと、わはは、と左門が笑った。
「私も姉さんに言われたのになぁ」
「俺の家族にいたっては誰も持って行ってないからなぁ。」
三之助がのん気言って、作兵衛が次屋家は急な雨に弱いな、と笑った。
「なぁ、止みそうに無いぞ、どうする。一つしか傘ないし」
左門が無意味に傘を開けたり閉めたりして、ワッサワッサと大きく音が響く。
それに作兵衛が、やめろよ動作がでけぇから、と咎めた。
「傘あるって言ってもパクったやつだしな。どっからとったんだっけ?」
「3組だ、三之助」
左門が答えて、ハイ!と挙手した。
「なんだ、神崎くん」
「はい!富松先生、ここはジャンケンでいくのがフェアだと思います!」
「うむ、私もそう思っていたところだ」
演技口調に答えた作兵衛が、それを戻して三之助を見上げる。
「三之助はどう思う?」
「俺もそれでいいと思う」
「じゃあそれで決まりだな、よしいくぞ、左門かけ声」
腕を突き上げていう作兵衛に左門がおぉ、と声をあげた。
「さーいしょーはっ」



「で…俺の1人勝ちなわけだけども」
作兵衛がニヤリとチョキを2人にみせつけると、うがーっ!と2人が拳を突き上げた。
「何故俺は手のひらを開いたんだぁ…!」
「作兵衛め…恐ろしい子!!」
「ははん、知ってるか、お前等相子になったあと絶対パー出すんだぜ!」
「言えよ!」
「ずるいぞ!」
「言ったら俺が負けるだろうが!」
3人でひとしきり笑ったあと、さぁ!と外に向けて傘を開いた。
「さ、帰るか!!」
「うぅ、くそぉ…駅までの我慢だ、三之助…」
「俺達駅ついたらぐしょぐしょだな…」
げんなり言う2人が覚悟を決めていると、「何してんだ?」先に行ったはずの作兵衛が、2人を見ていた。
2人が見上げると、いつものようにあきれた表情をしている。
「ほら、帰るんだろ?早く入れよ2人とも」
そう言って傘を軽くあげた作兵衛に、2人は思わず体当たりをかました。
「いでぇえ!!」
「さくぅぅうう!愛してるぅぅう!」
「さくぅぅうう!お前というやつわぁああ!」
やめろやめろ!と笑う作兵衛に2人がぐりぐりとくっついたまま外へ出た。
かろうじて傘をもつ作兵衛を真ん中にして、外へ繰り出した。
雨はまだやむ気配がない。
しかし、大きいと言ってもそこはやはり一人用なので。
「ちょ、三之助っ肩が冷たいそっちによってくれっ」
「いやっ俺だって濡れてんだから、左門がよってくれよっ」
「いでぇ!ちょっと押すな!はさまれてるのは俺ですよ!」
声を上げたのは作兵衛で、左門と三之助はそのままぐいぐい押し合った。
「いやしかしな作兵衛!私びしょびしょになっちゃうから!」
「俺だってびしょびしょになっちゃいますよ左門くん!」
「いや私が」
「いや俺が」
作兵衛をぐいぐい押し合い言い合う二人に耐えられなくなった作兵衛はぶるぶる震えだして、それから大声を出した。
「あぁ〜もう!こんなもの!」
とうとうプッツンきた作兵衛がうがぁ!と傘を放り投げた。
三人に容赦なく降り注ぐ雨に、左門と三之助が少し遅れて我に返る。
「何すんだよ作兵衛!」
「そうだぞ!三人でびしょびしょじゃないか!」
「うるせぇうるせぇ!もうあんなもんがあるからこんなんになってるんじゃねぇか!」
あー!もう!と怒った作兵衛が二人の腕をつかんで走り出した。
わぁ!と二人が作兵衛に引っ張られる。平等に降り注ぐ雨を作兵衛がうっとうしそうに首を振った。
「三人でおとなしくびしょびしょになって帰るぞ!」
諦めろ!とニカリと笑い、それに左門と三之助がニヤリと返す。
「だな!」
「うむ!」
「わかったらホラ、走れ!」
作兵衛の掛け声で手をつないだ三人はわいわい笑いながら傘を放って走り出した。
雨はまだ止みそうにはなかった。











雨の降る日は




「あれー?ねぇ藤内、僕の傘がないよー」
「えぇ?数馬、今朝傘たてにおいてたじゃないか。」
「ええー?おかしいな、どこいったんだろー?」














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オチに困ったら必ず出してごめんね数馬…

宮上 100508

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