仲直りの方法





三年ろ組の仲良しトリオの長屋から、三人それぞれの怒号が響いた。

「なぜだー!!なぜそんなことを作兵衛に言われなきゃいけないんだ!」
「そうだ!左門はともかく俺までってどういうことだ!」
「なんだと!お前が一番下手だったろう、三之助!」
「じゃーしぃゴラァ!お前らが黙って俺の話きかねぇからこんなことになったんだろうがよ!」
「作兵衛だって俺の話聞かなかったじゃないか!あそこであんなことするからだろ!」
「それが最善の策だったろうが!何をぬけぬけとえらそうに!」
「最善かどうかは私の話だって聞かないとわからないだろうが!」
「左門の話は結局信念に従えってことしか俺聞いたことないぞ」
「それを頭に置いた上で言ったことだろうが!俺は!」
「なぜ私の話を決め付けるんだお前らはっ!」

三人は普段の三倍の大きさで叫びあう。
結局誰も人の意見を受け入れず、拒否ばかりするので妥協案も出ない、解決の策が見えない。
うう〜っとうなりあった三人は、夕刻の中、もうそれぞれに見切りをつけるしかなくなってしまった。

「「「もう知らん!!」」」

一緒に叫び、プイッとそれぞれ別の方向を向いた三人で、まず立ち上がったのは左門だった。
それに思わず作兵衛は振り向いて、声をかけてしまう。
三之助も反射のようにそちらを向いていた。
「おい左門、どこ行く」
「めしだ!」
着いてくるなよ!と振り向かずに叫んだ左門は、戸を引いて出て行ってしまった。
閉める瞬間に見た左門の背中は、食堂とは正反対の方向を向いていたが作兵衛は追いかけて注意する気にはならず、どこで飯を食べるつもりだとため息をついただけにした。
次に立ち上がったのは三之助で、作兵衛も思わず顔を上げる。
左門のことがあったので、う、と黙って三之助を見上げると、ぐぅ、と三之助がつまって、黙って出て行くはずだったのに、と目をそらしながら戸を引いた。
「…厠」
「…そうかよ」
作兵衛の返事を聞く前に見えた三之助の背中は厠とはまた正反対の方向で、作兵衛はまたどこで出す気だとため息をついた。
「…俺も飯食いに行くか」
左門はどうせすんなり食堂に行くはずがないから、と立ち上がって戸を引いた。
















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