孫兵→2年 竹谷→4年













三年生になる前の年の終わり。
明日から春休みに入り、最後の委員会があった。
いつもの集合場所では無く、4年の長屋に向かう。
風はまだ冷たいが、もう少ししたら暖かくなるだろう。
もうじきジュンコも冬眠を終えて出てくる。
そうしたらこの落ち着かない首周りもしっかりするのだ。

「先輩、伊賀崎孫兵です」
「おう、入れ」
障子を開けると竹谷先輩が、紫の制服を着て、笑う。
「先輩、相変わらず似合わないですね、その色。」
すい、と入って先輩が胡座をかいている横へ座った。
「…お前は結局一年ずっと会うたびにそれを言うな。」
不満そうな先輩は、ポンと僕の頭に手をおいた。
僕に気兼ねなく触れる人間は、この学園では竹谷先輩ぐらいだ。
「さぁ、本題に入るぞ、孫兵」
「はい」
顔を上げる。
にかりと笑った先輩に安心して足を崩した。
この人の近くは両親よりクラスメイトよりよっぽど安心する。
「今年、俺は5年になって、孫兵は3年になるな」
「はい」
「それで俺は、委員長代理になる」
「あぁ…はい」
そういえば、と頷くと、先輩が苦い顔で「6年生は卒業なさったからな」と言った。
余り関わらなかった先輩方だった。
真っ先に近づいてくれたのは竹谷先輩だし、僕は竹谷先輩以外必要無かったのだ。
「そう、そこで問題がでる。」
先輩は人差し指を上へ突き出して、神妙な顔をした。
「何ですか」
「今のままだと生物委員は2人だ。」
「はぁ」
それがどうしたと言うのか。
顔に出すと、先輩は指を横に振った。
違うのだよ、と言われてるようだ。
「これは由々しき事態だぞ、孫兵。ただでさえ、数が多い虫や動物。今までも人手が足りないと何度顧問に掛け合ったか。それに加え、お前は年々、色んな虫を連れてくる。虫小屋も足りん。虫を見るのも、一人ずつの当番で何日もつ?」
「…」
「1日も持たん。増して俺は5年になるんだ。外での実習だらけになるから、今までみたいに毎日のようにここに来れる訳じゃない。」
「……つまり、何でしょう」
うだうだと長い理由を連ねる先輩に面食らって、思わず遮ってしまったが、先輩は少しも嫌な顔をせず、つまり、と僕の肩を掴んだ。
「一年生をたくさん入れる」
「…………嫌です。」














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