留文 現パロ 転生 短い













ボロリと涙を落としたのは俺ではなく文次郎だった。
俺が言った事でこんな風になるなんて信じられなくて、うぐぅ、と喉が潰れた声をだした。
ボロリと涙を落とした文次郎はそれきり涙も落とさず、言葉も発せずただ俺の目を見ていた。
焦ったのは俺だった。
なんで文次郎が涙を落としたのか全然わからなくて、おい、とか馬鹿やろう、とか意味の無いことをつぶやいた。
いよいよどうしようも無くなって、情けない顔で名を呼ぼうとするとおい、と声をかけられた。
「さっきの、もう一度言ってみろ」
「………ほんとはお前の事が好きだったよ」
気まずい顔で、でもだんまりよりはましだと恥ずかしい告白をもう一度した。
涙を落としたのは文次郎だった。
二回めも同じように、涙をボロリと落とした文次郎は、あぐらをかいて座る俺の肩を押して寝ころばせた。
俺も黙ってされるがままになる。
「目を閉じろ」
俺を見下ろした文次郎の低い声が響いた。
黙って目を閉じる。
目の裏に浮かび上がって来たのは、焼け野原とたくさんの倒れた人と土煙、それから呆然とした文次郎だった。
「…俺も、ほんとは好きだった。」
声が落ちてきて、俺は目を開けようとしたが力が入らなくて瞼を閉じたままだった。
文次郎が立ち上がる音がした。体に力が入らない。
この腕が届かない事を、俺は知っているのだった。


繰り返す











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こういう話が書けるのはこの二人だから

宮上 100418


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