左門、作兵衛→1年 三木→2年 文次郎、食満→4年







左門の迷子



1人で平気だとか、問題ない、と言ったのは自分だった。
たかが委員会、されど委員会。
やはり作兵衛に意地でもついてきてもらえば良かったかもしれない。
ふぅ
とため息をつくと、目の前の葉がゆらりと揺れた。
自分の信念に従って振り返りもせず走ってきたのが悪かったのか、知らない道に来ても知らない振りして走ったのが悪かったのか。
あぁ、作兵衛は今朝なんて言っていたっけ。
…知らない道に出たら、人に聞くかそこでじっとしていろ?
全くどうしようもない。
何も守れてはいないではないか。
目的だった筈の会計室はおろか建物など見つからぬ、林の中へきてしまった。
時刻はもう夕時。どんどん暗くなる景色にゾッとする。
ここには誰もいない。
ただ自分だけ。
「おーい、誰かー」
声を出すのも一苦労で、なんとか絞りだした声は木に吸い取られて響きわたらなかった。
ただ目の前の草がゆれる。
自分とは関係ないところで木々達がざわざわと騒ぐ。
ここには、自分一人だ。
夜がくる、真っ暗になる。
ますます、自分は一人に、

「さっ…作兵衛ー、三之助ー」
小さい声しか出ない自分が嫌だ。
遠くで鳥が鳴いている。
近くにあたたかいものが、体温を感じられるものがない。
ここには自分一人だ。
こわいこわいこわい、あたりが暗くなる、自分は何かにのまれてしまう。
「作兵衛ぇぇ、三之助ぇぇ、先生ぇー」
誰もいない、真っ暗だ。
こわいこわいこわい、誰か、お願いだから、
ひっ、と肩を震わせる、もう夜になってしまった。
生ぬるい風がこわい、意味もなく揺れる草がこわい、
誰もいない。
涙が出そうだ。
ずっ、と鼻をすする音は響くのに、自分の声は響かない。
「せっ、先生ぇ〜、父上ぇぇ〜、母上ぇぇ〜、うぁぁ」
ひっく、ひっく、
どうしても自分の声しか聞こえない。
ひっく、ずび、ひっく
忍者はこんな事ぐらいでは泣かないのに。
ひっく、ひっく
こわいこわい、だってここには誰もいない。












「神崎左門!」








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