私の世界は、とても、とても、きらきらと輝いていて、色鮮やかです。
 私の見ている世界の美しさを、全部、言葉で表す事が、口下手な私では――とても、無理でした。
 だから、私は絵を描く事にしました。私の世界を、皆に伝えるために。
 誰かが、私の絵を見て、素敵だ、と言いました。その時私は、とても嬉しくなりました。
 誰かが、私の絵を見て、微笑んでくれました。その時私は、とても幸せになりました。
 ずっとずっと絵を描いていたい。それが私の願いになりました。私の絵を見た誰かが、幸せな気分になったら、私も幸せです。
 だから、私はお星様に願いました。私の時間を、色鮮やかな『今』で止めてください、沢山の絵を描く、沢山の時間をください、と。

 ――お星様は、私の願いに応えてくれました。

 ただの人間だった私は、人形になって、成長する事がなくなりました。食事をしたり、ゆっくり眠る必要もなくなって、私の時間は沢山増えました。
 私は、とても幸せになれました。

 私は、旅に出ました。もっと、沢山の世界を、見てまわりたかったのです。
 苦しい事も、辛い事もありました。
 でも、それでも、この世界はひどく美しくありました。
 そして、私は一人の大切な人に巡り合いました。私は、彼を好きになり、彼も私を愛してくれました。
 けれど、私と彼の時間は、ひどく大きな差があったのです。
 病弱な彼と、頑丈な人形の私。
 二人きりの時間はとても、長くて。――とても、短かいものでした。
 そして、とてもとても、きらきらと輝いていた、幸福な時間でした。

 私はこれからもずっと、絵を描き続けていきます。
 彼が好きだと言ってくれた、私の絵を。
 とても、とても、色鮮やかで美しい、私の見てきた世界を。
 とても、とても、幸せだった、私と彼との時間を。
 今日も私は、絵にのせて、伝えてゆきます。





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