やあ。こんにちは、旅人さん。ようこそ、ブリオニア邸へ。
 お疲れでしょう? どうぞ、このソファーへお掛けください。ふかふかでとっても座り心地がいいんですよ。
 ああ、名乗り遅れました。私はサイト。この邸で暮らす機械人形です。
 ――私の、マスター……、ですか? ……今は、居りませんよ。亡くなってしまったのです。
 ……いえいえ、旅人さんが気にする事なんてありません! だって、マスターは、今も私の中で生き続けているのですから。私という人形が動かなくなるまで――ずっと、ずっと。


 お喋りが長くなってしまいましたね、すみません。今、温かいお茶を淹れてきますね。旅人さんはゆっくりしていてください。
 ――お茶を淹れた後は、今度は旅人さんのお話を、どうか。ひとりぼっちの私の為に、お聞かせください。
 辛い旅でしたか? それとも、幸せな旅でしたか?
 どんな小さな話でもいいんです。旅人さんが見てきた、歩んできた『みち』の話を、私は聞きたいのです。
 旅人さん、貴方の見る世界は、どんな色をしているのでしょうか。私はそれが知りたいのです。




 ――さあ、お茶をどうぞ。



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