おめでとう


「リクニス……ちょっと、いいですか?」
「な、な、なんでしょうイミルイさん!? いいに決まってます、誰が駄目と言おうがいいです! イミルイさんの呼びかけ以上に優先されるべき事があるだろうか? いいえ、ありません!」
「この間、クレーンゲームで取った猫のキーホルダー……あげます」
「わわ、イミルイさん優しいっ……! イミルイさんだと思って大切にしますね! いつも身につけるものにつける前に、写真を撮って……」
「それと、ペンダントもあげます。猫の足跡のかたちが可愛いって……少し前に言ってましたよね」
「かっ、可愛い……! それより、それより……! イミルイさん、私の些細な言葉も覚えていてくださったんですね……! なんだか夢みたいです、こんなに……」
「まだ、あります……最近、仕事が遅くまで続いて疲れた、と言っていたので……僕が可愛いと思った猫のスケジュール帳、あげます。仕事の予定を見るのも、これで少しは……苦にならなくなると思います。それと……」
「あ、あの……イミルイさん……? こんなに沢山、すごく嬉しいんですけど……でも、貰いすぎ、なんじゃないかなって。私、こんな」
「まだ、あるんです……リクニス」

 ふわり。あたたかな空気が感触を持ったなら、きっとこんな温もりを帯びて触れてくれるのだろう。
 頬と頬が触れ合う、親愛の挨拶。イミルイの香りが、柔らかな所作が、アッシュの目の前でかけがえのない宝物として記憶されていく。

「お誕生日、おめでとうございます」

 一年に一度きりの奇跡によせて。







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