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ピピピと四角い青の目覚まし時計が枕元で鳴る。時計は普通の人が起きるのには遅いだろう10時を指していた。久々の休日だったから、これくらいの惰眠は良いだろうそれどころかもう少し寝ていたいというのが黄瀬の本音だった。それで黄瀬は少し体を回転させて、目覚ましのボタンを押した。うるさくなっていた音が止まって、部屋は急に静かになる。その時、目覚ましの音で起きたのか、うう、っと怠そうな少し苛立ちを含んだ声が隣からした。それでようやく青峰が帰ってきていることに黄瀬は気が付いた。

「青峰っち・・・」

起こさない方が良いと分かっていても無意識に声に出して名前を呼んでいた。慌てて黄瀬は口をつぐんだけれど、声は放たれて青峰の鼓膜を震わせた。瞼が震え思ったよりは長い睫毛が揺れて、ゆっくりと青峰の瞼が開いて群青色の澄んだ瞳が現れる。
そっと腕を伸ばして黄瀬は抱き寄せられて、青峰の手の中に収められる。黄瀬、という声はまだ眠さの抜けきっていない緩い声だった。

「帰ってきてたんスね、起こしてくれれば良かったのに」
「お前が今日オフって思い出したから、早く帰ってこようと思ったんだけど思ったより手こずってさ。帰ってきてたらお前寝てて俺も眠かったし」

大きな口を開けて青峰は、欠伸を一つした。一週間ぶりのぬくもりに黄瀬も釣られるように欠伸をした。「青峰っち今日オフ?」と黄瀬が尋ねれば「一応な、急な呼び出しが入るかも知んねえ」と青峰は目を閉じながら答えた。昨晩は本当に遅くまで仕事だったはずだと分かっていて、寝かせてあげたいと思うけれどもっと話したいという欲求が出てくる。会話を続けれければ青峰は5分と経たない間に、また眠ってしまうはずだと、黄瀬は分かった。

「まだ眠いッスよね」
「ああ」
「あんた、まだ寝るよな?」
「そうだな」

返事もだんだんと相槌だけになっていく。青峰は退いていく意識の中で、黄瀬の声に返事をしようとするが思考回路がまともに働かない。黄瀬、と名前を呼ぶと、1時間だけ寝かせろ、とだけ一方的に言い放つと青峰はすぐに鼾を出して寝始めた。
その様子を黄瀬は見て、溜息をついた。そのまま青峰の腕の中で、同じように目を閉じる。自分だって疲れていたから、目を閉じればすぐに睡魔がすぐに現れる。もっと話していたかったけれど、起きたときに恋人がいるときの幸せを味わえるなら二度寝をしてもいいと黄瀬は、まどろむ思考の中でそう思った。


朝起きて隣にいるのがうれしいとか、
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