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場所はいつもと同じマジバーガーです、僕はいったいこの店に何円貢げばいいんでしょうね。それもこれも黄瀬くんと、今目の前にいる青峰くんが僕を頻繁に呼び出すせいですね。何か伝えたいなら文明の利器、メールとか電話とかで話をしてくれればいいものの、この二人は頭はあまり良いとは言えないですが律儀に直接連絡やら報告をしてきて、そのたびに僕はこの店に呼び出されることになるので困ったものです。
それで、今回は何を言われるのかと思い、青峰くんが話し出すのを待ってます。

「ヤった」
「何を?」
「セックス」

彼は黄瀬君と違ってすぐに話し出したのは良いのですが、もう少し場所とかを考えた物言いで言ってくれたら嬉しいです。まだ人も店内に多いこの時間、この場所でセックスとか言わないでほしいです。恥じらいというかデリカシーといいますか、空気を読みましょう。
急にセックスとか言われて僕がシェイクを噴出さなかったのは、呆れすぎて驚くこともできなかったからだ。

「それは黄瀬くんとですよね」
「ああ。この前テツが会えなかった日に黄瀬から呼び出されて、告白されてから付き合い始めた」

それは知ってます、呼び出したのは僕が黄瀬くんの携帯を使って君を呼び出したんです。そのことは別に青峰くんが知っていても知らなくてもいいことなので言いませんが、あの後ちゃんと黄瀬くんが告白できたことは本当に良かった。黄瀬くんの様子だと、ちゃんと告白できるかどうかは正直五分五分の確立でした。
「まぁ、黄瀬のこと紹介してくれたのテツだし、ちゃんと報告しておこうと思ったんだよ」と青峰くんは嬉しそうに言ってくれましたが、だったら先に付き合い始めたほうから報告してほしいです。呼び出されてから真っ先に友人たちの下半身事情を知らされなければならない僕の気持ちも考えてほしいです。

「それはよかったですね。お二人が幸せそうで僕も嬉しいです」
「まあな。俺もまさか付き合うとは思ってなかったわ、しかもセックスまでするなんてもっと思ってなかったわ」
「あの、青峰くん人がいる場所であんまりその単語言わないほうがいいですよ」
「あー、気を付ける」

注意したのでこれで如何わしい単語を聞くことは減ると思いますが、友人たちの下半身事情はやはり聴きたくないので話題を代えます。「えっと、黄瀬くんと言えば最近モデルの仕事が増えたらしくて、たまに部活を休むんですよ」「で、仕事の後に会うんだけどよ、仕事の後の黄瀬って疲れてなんかかわいいんだよな」青峰くん、それは惚気ですよね。さらりと言いましたけど惚気ですね。それでさーその後さー、って青峰くんは話を続けていくのですが、なんとなく次の言葉がわかってしまいました。

「ヤるん」
「黄瀬くん仕事もしてて部活も頑張っていてすごいですよね」
「おい、俺が話てんだけど」
「ほんと、尊敬しますよ。黄瀬くんいい子ですから泣かせたらダメですよ」
「別の意味で啼か」
「あ、シェイクなくなったので、僕もう帰ります」

逃げるようで悪いとは思ってます。でも考えてみてください、何度も言いますが友人たちの下半身事情を知りたいと思う人は少ないと思います。二人の関係は応援してますし、二人を引き合わせたのは僕ですので無事に二人が幸せになったことは喜ばしいと思いますが、下半身事情はそれとこれとは別です。青峰くん、黄瀬くんをいろんな意味で大切にしてください。

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