こちらの設定
いやはや、あの作戦は上手くいったのでしょう。彼とここで会うのは久しぶりです。相変わらずシェイクはとても美味しいです、青峰くんは黒いです。その黒い青峰くんは、ハンバーガーを4つ注文して美味しそうに食べています、こちらとしては見ているだけで吐いてしまいそうです、こんなに暑いのに食欲なんてありません。
「あ、そーそー、黄瀬に会った」
「どうでしたか?」
「あいつ結構良い奴だったな、バスケうめーし、おもしれーし」
人の良いところを上げるところで真っ先にバスケが上手いことを例に挙げるのは流石青峰くんだと思います。というか、人のことをバスケをしているいい人か、バスケをしていないどうでもいい人の二択しか彼の頭の中には無いんじゃないだろうか、と不安ですね。
なにはともあれ、青峰くんは黄瀬くんと良いお友達になったようで良かったです。
「今日も会う予定だったんだけどよ、あいつ仕事が入ってるって言ったからテツに連絡した」
「黄瀬くんはモデルですから、オフの日は仕事入れますからね」
そんなことよいも、僕の優先順位はあっという間に2位か同率1位になってしまっていることに、少なからず驚いてます。基本的に木曜日がミーティングだけの日なのですが、毎週会っているような口ぶりですね。紹介して一ヶ月もないのに、いつの間にそんなに親しくなったのでしょうか。
「あ、ちょっとワリー」
青峰くんの少し五月蠅い着信音が鳴ったかと思うと、直ぐに携帯を青峰くんは耳に当てた。「あ、黄瀬、仕事終わったのか。ああ、いつもの店、アホか、テツと一緒だ。ハハ、ああ、じゃあ後で」と、青峰くんの会話するトーンは若干明るく、表情も楽しそうです。仕事と言っていたので電話の相手は黄瀬くんですね。なんでしょうか、嫉妬という訳ではありませんが、電話をしている青峰くんをみると苛つきますね、あれですリア充爆発しろってやつですかね。彼等はまだ付き合っているわけではないですが、リア充とはリアルが充実している人のことを指すので、カレカノがいるいないじゃなくても使っていい言葉ですよね。とりあえずリア充爆発しろ。
「ワリーな、ってかそんな怒んなくてもいーだろ」
「別に怒っているわけではありません、甚だしいだけです」
「とりあえず、悪かった。あと、黄瀬が仕事で東京居るみてーだし、今から行ってくるわ」
彼女を迎えに行くような口ぶりで青峰くんはそう言ってのけました。その口調に自分で気付いていないというのはむかつきます。
またな、と言って席を立って青峰くんは出て行きましたが、さて、次はいつ彼等に会うことになるんでしょうか。黄瀬くんが仕事がある日でしょうね、それ以外は2人で会うでしょうから。