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成長/ぬるいですがR18


伸ばされた手の行き先を赤司は知っている、その意味も知っている、だが拒まない。きっと今日が最後の逢瀬だから、彼の好きにさせようと静かに目を閉じた。先に述べれば、下準備だって済ませてきている。最後だから楽しく楽にスムーズに滞りなく、紫原の愛情だけを享受しようという自分本意だ。
目を閉じたから黒い視界の中、自分の身体を這う紫原の手の感覚だけが鮮明に肌に伝わる。二人とも口を開かないから、服の擦れる音が鼓膜に伝わる。
紫原は赤司のシャツを脱がし終えると自分の上を大胆に脱ぎさってから、赤司のものとまとめて床に落とした。

「赤ちん、目開けて」

初めて二人の間で会話が出来た。目開けて、俺見てて。そういって、紫原は赤司の目の周りを撫でた。不意の感覚に赤司は身体がビクッと一瞬振るえた。彼がこうやって無防備に目を閉じるのは紫原だけだ、あの何でも見えるような目を閉ざしてしまえば少しだけ不安になる、ほんの少しだけだが。だが、滅多に感じない不安を赤司は紫原の前だけで見せる。その不安の反応に満足したのか紫原は首筋に舌を這わせて、俺を見て、赤ちんのキレーな目見せて、と強請る。赤司は素直に目を開ける。

「あんまり見たくないな」
「なんで?」
「おもしろくないだろ、先が見えるのは」
「だけど目見たいし開けててよ」

紫原はそういうと、ズボンのチャックを開けてから下着をずり降ろす。傍に転がして置いたローションを手にとると、キャップを開けて中身を掌に零した。ねっとりとした液体を、掌の体温で温めてから赤司の後孔に向ける。人差し指をゆっくりと後孔に入れていく、赤司は少しだけ眉を寄せた。
いつもより入りやすい後孔に紫原は気が付くと「先に慣らしたでしょ」と不満そうな表情で赤司を見た。「敦が楽だろ」 と言うと「全部俺がやりたかったの、赤ちん身体どろどろにしたかったのにな」と唇を少しだけ尖らした。どこか子供っぽい表情に可愛さを見出だして和んでいた赤司は、不意に中で曲げられた指に、うぅ、と声を零した。

「今子供っぽいって思ったでしょ」
「そんなことないよ」

笑って言っても、紫原は納得してないのか、不満そうな表情のまま指をゆっくりと動かしはじめた。
自身が人の動きが分かるならば、紫原はおそらくは人の気持ちが分かる、と赤司は思っていた。それが自分だけの気持ちが分かるのか、他人まで分かるのか不明だが、赤司の気持ちを紫原は悟るとこが多かった。
ぐちゅり、嫌らしい水音が鼓膜に伝わる。今犯されている、と強烈に伝わる水音だ。異物だったものが受け入れられるものに変わり、今ではすっかり感じるものに。あっ、は、うぅ、ん、息を吐いたり吸ったりどんどんとゆっくりと中に入ってくる長い指。固いしこりみたいなところを爪でカリカリと触られて人一倍身体をのけ反る。指はすっかり三本が赤司の後孔へ埋め込まれて、好き勝手に動き回る。

「いい?」

何が、と野暮なことは聞かないで頷いて肯定を表す。紫原もズボンを脱いで、性器を取り出す。すでに固さをもったそれを、ぐずぐずに溶かした赤司の後孔に当てる。熱い。
赤司はゆっくりと入ってくるそれの違和感と苦痛を噛み殺しながら、ゆっくりと今日はゆっくりとしろ、と命令みたいに言う。普段からゆっくりとしているし無理はさせないが、更に今日はゆっくりとさせて感じたいのだ。紫原は頷いて、ゆっくりと抜き差しを繰り返しながら中へ中へと入ってくる。全てを入り切るのは時間がかかった。赤司のものを長い指で弄りながら紫原は根気よく感じさせながら。入りきったものを赤司は自身に覚えさせるように締め付けた。

「どうしたの、赤ちん?今日なんか変だよ。ゆっくりとか言うし」
「何でも、ないよっ、そんな気分だっただけ、だから」

紫原熱いは何も知らない。この逢瀬が終われば赤司征十郎はイギリスに向かうということを。赤司は本社のあるイギリスへ向かい、そこで新しい事業に手を出し、そこで骨を埋めようとしている、一人でだ。
気持ちや考えを悟ることが出来る紫原は、赤司が離れていくように直感で悟る。変わってないようで変わっている赤司の表情が、言葉の代わりにそれを紫原に教える。どこにも行かないで赤ちん。奥の奥まで性器が入り込むように抱き抱えて、紫原はそういった。 ああ、ぅん、あぁ、どこにも、行かないから安心しろ、あつし。そういう言葉は、紫原に安堵をもたらさなかった。嫌だ嫌だよ征十郎…。滅多に呼ばない下の名前を愛おしそうに呼びながら、赤司の身体を紫原は揺さ振りながら貫いた。あ、ああ、うっ、は。赤司は言葉にならない音を唇から漏らした。下腹部からはぐちゅりぐちゅり、と淫らな音を出しながら、精液なのかローションなのかわからない液体を後孔から抜き差しを繰り返す間に零していた。

「イっ、く」
「イっていいよ、赤ちん」

急速に全ての動きを紫原は、腰と赤司の性器を扱く手を早める。赤司は背中をのけ反るのと反対に手は紫原の背に腕を回した。爪を背に立てて、皮膚を掻きむしる。赤司の髪は汗で顔に張り付いている、それでもはどこか美しさを出していた。内壁がうねるように紫原の性器を締め付けると、今までゆっくりとしていたからか余り表情の変わらなかった紫原の表情が、苦しそうに歪む。はっはっと短い息を紫原は吐き出した。
いっそうに深く性器が突き刺さって揺さぶられたかと思った瞬間に、中に吐き出された熱い精液を、赤司は感じて目を細めた。




目を覚ましたら、紫原の髪を撫でると赤司は床に落ちている服をかき集めた。
さようなら、楽しかったよ、敦。そう心の中で呟いた。愛してるのは間違いないが、これ以上一緒にいてはお互いが駄目になるのは目に見えている。だから赤司はひっそりと去ることを選んだ。音もなく扉を閉める、全て閉じてしまう前に赤司は一瞬だけ部屋のベッドで眠る紫原に視線を向けた。


すこし長いメールを書こう/ごめんねママ
お別れのメール、感謝の言葉、謝罪の言葉、それから愛してる。的な内容を紫原に送る赤司。
年末年始エロ企画(最後の逢瀬で紫赤)
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