テキスト | ナノ

不意に下腹部に感じる感覚に、黄瀬は不穏な空気を悟った。自分の掌よりも大きな掌、それは紛れもなく先ほどから一緒に電車に乗っている青峰の掌に間違いようもなかった。ただちょっと当たっているだけだよな、なんて思っていたのもつかの間で、青峰の手は急に黄瀬の尻をがしっと掴むようにして覆った。満員の電車で、壁側に押しやられたのは優しさではなくてこのためだったのか、と流石に黄瀬も危機感を感じ何か言おうとしたが、人ごみと青峰が壁に黄瀬の体を押し付けているため身体は振り返ることはできず、かろうじて上半身と首を振り返らせる。

「何やってんだよ、変態」
「痴漢プレイってやつ、萌えね?ってか、変態って言いながらもお前も期待してんだろ」
「しねぇよ」

悪どい笑みをにやりと浮かべながら、青峰は黄瀬の尻に触れる掌の力を少しずつ強めていく。触れているだけの手だったが、それは掴むようになり、いずれ撫で上げたり、色々な触れ方で黄瀬の下半身を遊んだ。嫌でも感じる手つきは、セックスを思い出させる。手つきと記憶が相まって、黄瀬は身体が熱くなるのを感じた。
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