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※確か本誌では青いピアス



先にシャワーを浴び終わった黄瀬がドライヤーで髪を乾燥させていた。温風で髪が巻き上げられ、いつもは少し隠れている耳が全て露出する。
そっと手を伸ばしてから触れてみたら、案の定血管なんてない無機質な物でしんやりと指先に冷たさが伝わった。髪の毛と耳たぶにも僅かに指が触れてしまってか、黄瀬はくすぐったそうに首を反らした。そのせいで、黄瀬の糸よりも細くてしなやかな金髪が青峰の指に更に触れた。
「何ッスか、急にピアスなんか触って」と再び微妙に顔をこちらに向けながら黄瀬は聞いてきた。「あー・・・お前知ってんのかな、と思っただけ」とワンクッションを挟んでから、青峰は黄瀬の耳から指を離した。黄瀬は知っていなかったみたいで、何のことッスか?と聞いてきたから、片耳にピアスを付けることが同性愛者であることを示しているということを教えれば、目を見開いてピアスを隠すように手で触れていた。

「って言っても、まぁ、最近はそんなこと思ってる奴は少ないだろうから付けてても良いんじゃねぇの。似合ってるし」
「そうだけど、何だか気になるし・・・」

外そうとしている黄瀬の手に自分の手を重ねて、外させるのを制止した。似合ってんだから、ともう一度青峰が同じ言葉を繰り返せば、黄瀬は納得がいかない表情だったがそれでもピアスを外す動作を止めた。
「そんな顔するなよ。本当のことだしよ、ってかそのピアスの色って青っぽいしさ、不本意かもしんねぇけど俺が外させたねぇ」と青峰が多少の照れくささを隠すようにからかい半分でそう言えば「あー、なんで青峰っちはそんなこと言うんっスか。そんなこと言われると外しにくいッスよ」とどこか拗ねたような表情で黄瀬は言った。
その表情のままで黄瀬はドライヤーを再開する。また髪が捲り上がって、青いピアスが耳の下の方で存在を主張した。




思いつきの愛で生きる/ごめんねママ
短い。確か本誌では青いピアスだった気がするのですが
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