テキスト | ナノ
お金を払って、紙袋を青峰は受け取った。中にはマジバーガーが4つ入っている、チーズバーガーとテリヤキバーガーで、青峰と火神で2つずつ。お互い金もないので、安いハンバーガーを買うのが習慣になっていた。
ほら、と言って青峰は紙袋の中から少し違うパッケージのチーズバーガーを取り出して火神に軽く投げて手渡した。取った時の温かさはすぐに消えて、手は冷えてしまう。自分の分も取り出すと、また掌にじんわりと温かさが伝わる。
他の人には邪魔にならないような道に移動して適当に地面に座り込む。つるみ始めて少しだ経ったからか、バスケ以外にも話題は出てきた。音楽とかテレビとか、そんなことを話しているときに不意に青峰が言う。

「なあ、そればっかりじゃ飽きね?」
「それ?」
「チーズバーガー」

それはお前もだろ、と反論すれば、それもそうだな、って話になった。お互い好物だからか、飽きというものはなかなかない。うまいもんは美味いし、好きなものは好きなもので、ずっと同じものばかりを注文している。
すでにお互い食べかけているハンバーガーを取り替えてみる。テリヤキバーガーはソースがこぼれそうだから、火神は少し場所を考えてからかぶりついた。久しく食べてなかったからか、ソースの味が懐かしく感じる。青峰も火神から受け取ったチーズバーガーに遠慮なくかぶりついた。二つのハンバーガーには自分の物ではない大きな歯型の穴が開いていた。

「なんか久しぶりに食べたわ、チーズバーガー」
「俺もテリヤキ久しぶりだな、いつもチーズばかりだし」
「久しぶりの感想は?」
「まあ美味かったな、フツーに」

火神も感想を聞こうと、お前は?、と尋ね返せば、味が薄すい、とだけ返事が返ってくる。他にないのかよ、と追及しても、無え、と帰ってきて火神は少し腹が立ったが、そういえばこいつはこういう性格だったことを思い出して、溜息だけ吐いて口をつぐんだ。
あまりプラス的な意味の感想を言ってないけれど、青峰はまたチーズバーガーに齧り付いた。パンとチーズとケチャップと玉ねぎがまとまって青峰の口の中に落ちていく。

「美味くねえんじゃ無かったのかよ」
「別にマジいとは言ってねえだろ、日本語理解しろよ」
「てめえに言われたくねえからな、お前だって馬鹿だろ」

軽い口げんかをしながらも、青峰は火神のチーズバーガーを噛み千切っては飲み込んでいく。けどなんか昔食べたのよりかは美味い、とだけ青峰はぼやくように呟いた。チェーン店だから味が変わるとかそんなことはあるはずがないのにな、そう思いながら咀嚼したチーズバーガーを飲み込んだ。
素直に美味いって言えよ、と火神も隣で笑ってテリヤキバーガーに口を付けた。





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