テキスト | ナノ
※中学3年時の話:捏造


大きな胸が好きなこの人は、ゲームでも結構な頻度で女のキャラを使って戦う。体力もパワーも少ないが、それでも黄瀬は青峰にゲームで勝つことは少ない。
今はチームプレーをしているが、黄瀬の操作しているキャラの体力ゲージはもう少しで死ぬということを示す赤のゲージラインに入っていた。「お前弱すぎ」と言いつつ、青峰は黄瀬に薬草を分けてくれた。そのおかげで、黄瀬のキャラは黄色のところまで体力が回復する。

「なぁ」
「なんスか?」

「お前、俺が死ねって言ったら死ねか?」と青峰はゲームを操作しながら聞いてきた。画面では可憐な女の子が、小さな体に不釣り合いの厳つい斧を振り回しながら、向かってくる敵兵に突入していった。意味が分からずに、黄瀬はどういう意味で、と聞き返す。「もしも、このゲームみたいにさ、世界中のやつらが俺達を殺しにかかってきて、もしどちらかが死んでどちらかが助かるなら、お前死ねるかってこと」と青峰は黄瀬のことを見ないでまた言う。
何回斧や刀を振るっても、どこからわいてくるのか分からない無数の敵。ゲームの中のキャラクターは必死になってそれを薙ぎ払ていた。もしも一瞬でも手を抜いたら、その瞬間に動かしているキャラに数発は攻撃が当たるはず。黄瀬は手を動かしながら答える。

「別に、あんたに助けられたようなもんの命ッスから、あんたのために死んでも良いけど、死ねない」
「そー、か」
「命が惜しい訳じゃないッスよ、青峰っち一人にして死ぬなんてできないってこと」

ゲームで回復をくれたように、バーチャルではなくリアルの世界でも黄瀬は青峰に命を助けられたのと同等のことがあったのだと思っている。退屈で、生きるのが面倒で、死んでも別にいいと思っていた世界から救い出してくれた。その世界が苦しいことを黄瀬は知っている、だからこうやって青峰を一人にはできない。
どうせなら、と黄瀬は言葉を続ける。「どうせ死ぬならこうやって、ゲームみたいに最後まであんたと一緒に戦って死ぬ」お姫様みたいに世界中が敵になっても守って欲しいとは思わない、だからと言って青峰を犠牲にして生き残っても意味がない、青峰を一人にすることもできないならば、その選択肢が一番適当だ。

「俺、お前のことバカだと思っていたけどそこそこ頭良いな」
「少なくとも青峰っちよりかは頭良いッスからね」
「けど、ゲームとバスケは下手だな」

話している間にやはりどこか操作はままならなくて、黄瀬のキャラは数発攻撃を食らってまた死に掛けになっている。青峰は笑いながら、また薬草を分けてくれる。いつかどっちもぎゃふんと言わせてやるッスから、と黄瀬が言い返せば、青峰は鼻で笑ってから、ぎゃふんとか古すぎだろ、と言って声に出して少し笑った。「もうコピーできし、ゲームでもあんたの足は引っ張らないッスから」もうゲームの方も大体操作は覚えたので、青峰に勝つまではいかなくても死に掛けることはなくなる。

「青峰っちだけでも最強なのにさ俺まで加わったら、世界中が敵にまわっても勝てるっしょ」

そうやって黄瀬が誇らしげに言い放つ、それと同時にラスボスに一撃を食らわせた。少しだけラスボスから血が噴き出して、そのままラスボスは地面に転がった。世界中がゲームみたいに敵だらけになっても、あんたと二人なら絶対大丈夫だって。黄瀬は笑ってゲームを投げ出した、ゲームクリアと画面には派手な蛍光色の赤と青でそう書かれていた。



隣にいるとかいないとか
title by ごめんねママ
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