テキスト | ナノ
もう少し色気のあるところに連れて行かないとだめだな、とは思っているけれど基本的にはいつもマジバーガーに来てしまっていた。目の前の黄瀬は大きなサングラスをして、紺色の生地に赤と白と青のフランス国旗みたいなリボンが巻きつけられているカジュアルな帽子を少し深めに被っている。「なんでいつも顔隠してんだよ」と言って、青峰はきまぐれに黄瀬のサングラスに手を伸ばして奪い取る。大きな黄色の目が、サングラスの下から見える。モデルだからか、綺麗に整っている顔で、隠すのはもったいなくもっと見ていたいのに。

「一応モデルッスから、スキャンダル禁止なんで」
「別にバレねぇよ」

会話をしながらも、黄瀬はサングラスに手を伸ばして奪い返そうとするが、青峰がサングラスを更に自分の方に引き寄せて、それを阻止する。黄瀬が青峰を睨めば、青峰は勝ち誇ったように上から黄瀬を笑った。
「もう嫌いッス」と黄瀬は少し唇と尖らせて、不満そうな顔をする。唇はグロスや口紅が薄く引かれているのか、綺麗な光沢をさせていた。目にもマスカラなのか付け睫毛なのかエクステなのか、青峰には区別できないが綺麗にされている。んで、嫌いなのにモデル様が俺と付き合ってんだよ、と青峰は聞くと黄瀬は膨れた表情をしとやかに変えて、指で口元を弄りながら答えた。

「一番はバスケしてるとこに一目惚れしたことだけど、私を好きじゃないところ」
「はぁ、俺はお前のこと好きだけど?」
「違うッスよ」

好きだ好きだと言い寄ってくる輩どもは、黄瀬を褒めることしかしない。まるでお姫様扱いで、好きなところに連れて行ってくれたり、欲しいものは買ってくれたりしてくれていた。それがどうだ目の前のこの男は、デリカシーなんかあってないようなもので人のことを貧乳と言ってきたり下ネタを平気で話したり、デートと言えばファミレスとかマジバーガー、買ってくれたものは数えれる程度でどれも安いやつばかり、出会ったころは振り向いてもくれやしなかった。
まぁ、そんなところが好きなんッスけどね、と黄瀬はそう思いながらシェイクに手を伸ばして飲む。半固形半液体の甘い物体が喉を通過した。どういう意味だよ、と青峰は不機嫌を隠すことなく眉間に少し皺を寄せながらそう聞いてきた。

「バカ峰っちには話しても分かんないッスよ」
「あぁ、上等だ黄瀬、ここはてめぇの奢りだかんな」

こうやって難癖つけて人に奢らせたり、そんなところも好きだなんて終わってるな。そう思いながら黄瀬は笑って「えぇ」と苦笑しながら受け答えする。別にマジバーガーの1つや2つくらい平気だけれども、くだらないことで喧嘩もどきをすることが楽しい。



めんどくさいこ
title by ごめんねまま
來さんリクエスト:青黄♀
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