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!)黒子♀注意



女子ってみんなこうなんだろうか。テツの目の前の机の上に置いてあるのは小さな弁当箱が1つだけだ。数種類のおかずが半分を占めていて、残り半分に肩身狭そうに白米が詰め込まれている。それから、紙パックの緑茶が横に一本。
全部を合わせても、自分が食べているそれの半分にもならなくて、思わず心配してしまう。自分の弁当箱から1つおかずを取り出して青峰は黒子に渡そうとしたが、黒子は「要りません」と断って、自分の弁当箱から少しだけ白米を取ると口に入れて、ゆっくりと咀嚼していた。

「ちゃんと食ってるか、テツ」
「食べてますよ」

黒子は音もなく咀嚼し弁当を消化していく。口に運ばれたそれらは胃で消化されて腸で吸収されて、ちゃんと身体を作っていくにしても、黒子が口にしているだけの量では心許ない。凝視しなくとも服の上からでさえ、黒子が細いことが伺える。白い肌に、細い手首に指に腕、腰。どこにも余分な脂肪が無くて、力を入れてしまえば一瞬で折ってしまえる。
コンビニで買ったパンをずいっと黒子の方に青峰は押しやった。不思議な顔をしている黒子に「喰えよ」と言ったが「先程も言いましたが、要りません」とだけ言ってまた弁当の中身を静かに消費していく。彼女が小食なのは知っているけれど、それでも何か食べさせるべきだと彼女の身体を見る度に責任感が湧いた。

「ちゃんと食べないと胸が大きくらなねーぞ」
「・・・一回死にますか、青峰君?」
「冗談だよ。けど、マジでもっと食わないと痩せすぎ。別にダイエットしてる訳じゃないんだろ」

弁当を食べ終わったらしく黒子は机の上に置いておいた蓋を手に取った。ちらりと弁当箱をのぞき見れば、ちゃんと完食していて青峰は安堵する。あれだけでも食べきれなかったら、流石に本気で心配になるところだった。
弁当箱を片付けながら黒子は「小食なだけです」と言って鞄の中に弁当箱を入れた。それから、と付け足すように口を開いた。「他人の心配する前に自分が食べなくて良いんですか。休み時間終わりますけど、部活で倒れても知らないですから」そう黒子に言われ、青峰は慌てて時計を見たけど、まだ十分に昼食の時間は残っている時間を時計の針は刺していた。黒子を見れば「嘘ですよ」と言って、ほんの少しだけ口角を上げて笑っていた。


やさしいひかり/ごめんねママ
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