テキスト | ナノ
※黄瀬が♀




部活が終わり、着替えが終わって鞄を持ち上げて肩にかけ、黄瀬はロッカーをもう一度開けて扉の裏側に取り付けた鏡で髪型とメイクがちゃんと出来ているかを確認して部室を出る。部室の横では既に着替え終わっていた黒子が荷物を床に置いて立っていた。

「ごめん、待たせたッスか?」
「僕も今着替え終わったところですから、待ってませんよ」

そう言ってから屈んでバックを持ち上げて、黒子は薄く笑った。2,3歩歩いて、黄瀬は黒子の横に並ぶ。自分と僅かにしか身長が違わないために、横を見ると黒子の顔が目に入り黄瀬は微笑んだ。
視線が交わると「黄瀬さん、」と黒子は唐突に黄瀬の名前を呼んだ。何ッスか?と黄瀬が小首をかしげながら答えると「キスをしても良いですか?」と黒子は無表情に聞いてくる。普段、黒子からキスをすることは少ないのに加えて、更に学校内でキスをするということはもっと稀なことで、黄瀬は「へ?」と思わず反射的に言ってから直ぐに「良いッスよ」と微笑んだ。どちらからでもなく自然に触れるだけのキスをした、黄瀬はそれだけで終わりかと思って身を引こうとしたが、黒子に手を掴まれ再び引き戻され、今度はより深くキスをされる。舌を絡めるようなキスで、水分が混ざる音がいやらしい。

「どうしたんッスか、急に」
「嫌でしたか?」
「全然、むしろ嬉しいッスけど、なんか黒子っちらしくない」

キスが終わると、黄瀬は聞いてみた。さっきも言ったけれど嫌ではない、けど不可解だ。黒子は「笑いませんか?」と少し不安そうな声色で聞いてきて、黄瀬は少し不安になりながらも首を縦に小さく振った。

「たまたまクラスの男子の話を聞いてしまったんですが、黄瀬さんをオカズにしてるようです。黄瀬さんは綺麗でモデルだからそういう人がいても可笑しくないんですが、らしくないですが嫉妬というものかもしれません」

黒子は淡々とそう言って、声に出さず小さく口角を上げて苦笑した。黄瀬がそういう目で見られることに黒子は耐えられなかった、自分のものだと、口に出さなかったけれど心の中でクラスの男子に言っていた。
話を聞いた黄瀬はアハハと笑って、黒子の腕に自分の腕を絡めて抱きつく。黄瀬さん、と名前を呼んだ黒子の声が少しだけうわずっていた。

「黒子っちにシットしてもらえるなんて思ってなかったッスから、チョー嬉しいッス。あ、黒子っちが嫌なら別にモデル辞めても良いッスからね」
「別に仕事は辞めなくても良いです。辞めても、黄瀬さんをそういう目で見る人は学校にいると思いますし、なにより黄瀬さんがモデルの仕事楽しいでしょうから」

楽しそうに仕事に向かっていく黄瀬さんを送り出すのと、疲れているけどどこか楽しそうな表情で帰ってくる黄瀬さんを迎えに行くのが意外と楽しみなんです。そう黒子がさらりと言ってのければ、黄瀬は目を輝かせ頬を薄い赤に染めながら「そう言うところが好きッス」と黒子に更に強く抱きついた。



あおげば愛し
title by 花畑心中
プラスチックさんリクエスト/黒黄
黒黄はお互いを尊重し合うイメージでした
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