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※wc終了後捏造



携帯が鳴る機会が増えた。一人だけ違う着信音、中学を卒業してから携帯を代えても同じ着信音、そのことに気付いているのは恐らく自分一人。
その着信音が部屋に響いた。メールを開いたら、すぐに立ち上がって階段を駆け下りて玄関の扉の前に立って、黒子は靴を履いた。履いている途中に母親が何処に行くのか尋ねるので「青峰くんと出かけてきます」とだけ言って掃き終えた靴の違和感を無くすように、靴の爪先を黒子は数回地面に打ち付けた。扉を開ければ、目の前の道路には既に青峰が立っていて黒子は少し駆け足で寄っていく。

「急にメールをくれるのは嬉しいですが、もし僕が居なかったらどうするんですか」
「そん時はそん時だろ」

そう言って笑う青峰に、黒子は控えめに苦笑する。メールが増えたのと比例するように青峰が笑う回数も増えた、退屈に欠伸する回数は減った。中学時代みたいにいつも笑っているというわけではないが、時折見せる笑顔は中学時代のそれと同じ物だった。
突発的なデートだったから、どこに行くのか予定があるわけでも無く、呼び出した青峰も特別したいことが有るわけではなかった。「じゃあ、なんで外に行こうとか考えたんですか?」と黒子が尋ねれば「暇だし」と青峰は短く答える。

「青峰くんは昔から計画性がないですよね。本当に気の向くままというか、野生児というか、脳みそまでバスケですね」
「それ褒めてないよな」
「もちろん貶してます」

黒子の言葉に青峰は苦笑した。事実なので否定することもない。だが、こうやってくだらない話で笑えるようになったのは良かった。
そういえば、と青峰は話題を変えるように言葉を発した。「もうすぐインターハイだな。前も言ったけど次は敵だ」そう言って青峰は黒子の顔を見て笑った。昔、シュートを習ったときにもそう言った気がした。黒子は「そうですね」とどこか泣きそうな顔に見える顔でそう言った。
お金も無いので行けるところも限られていて、結局近くのコンビニでアイスを買って近くの木陰で壁に背を預けながら、2人で買ったアイスを食べる。

「昔もこういうことよくしてましたよね」
「そうだな。なんだか懐かしいな」

昔と今は全然違って、割り切っていたはずなのに昔と同じことをするたびに懐かしさがわき上がってくる。「青峰くん」と黒子は思わず話しかけていた。

「ウィンターカップの後、みんなに会うとどこか昔に戻ったみたいに思うんです。それが僕はとても嬉しかった。だからまた、もう一度だけみんなで集まって敵ではなくて味方としてバスケをしてくれませんか」
「そうだな、そーゆうのも面白そうだな」

黄瀬と1on1をして、赤司の指示で走って、緑間をからかって、紫原に御菓子を貰って、黒子からパスを貰う。もう一回集まったら、昔と何かが違うかもしれないし、同じかも知れない。
青峰は携帯を取り出してメールを書いて送る。「誰に送ったんですか?」と黒子が聞いてきたので「あいつらにここに来るように送った」と青峰が言えば、黒子はあきれ顔で「赤司くんと紫原くんは無理ですよ」もう少し頭を使って計画的にしたらどうですか、と黒子は呆れながらそう言って笑った。




焦げついた青
title by ごめんねママ
兎妃さんリクエスト:青黒で甘


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