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俺達はね、怪獣なんだよ。珍しく紫原君と二人っきりになったとき、彼がそう言った。一番背が高い彼を、首を上げて見上げればのど仏が上下して何かを飲み込んだみたいだった。その後に視線に気が付いたのか黒子を紫原は見て「何?」と、紫原はそう言った。

「いえ、どういう意味なのかと思ったので」
「あー、うんとね、俺達は普通の人とは違うんだよ」

力も才能も考えも、だから普通の人とは違う、怪獣なんだ。仲良くなろうとしても、言葉も分からないし、近寄っても逃げられる。そんなことを御菓子を食べながら呑気に紫原は黒子に話した。
寂しくて仲間を見つけたら凄く大切にするけど、もしも仲間の振りをした人間ならひねりつぶす。赤ちんの邪魔をするやつは許さない、彼の居場所を作り守るのは自分の役目なのだ。

「黒ちんのこと俺は好きだけど、赤ちんを否定したら駄目だよ」

赤ちんに殺されちゃうから。もしかしたら俺が殺しちゃうかも。そう言って紫原は黒子に御菓子の入った袋を差し出した。取って良いよ、と言えば黒子は小さな御菓子を1つだけ袋から取り出す。「赤司くんは凄い人だと思います、他の皆も。けど、だからこそ僕は君の言う怪獣ではないと思います」だって、僕は大きくも強くも無い。黒子がそう言えば紫原は「黒ちんはねー多分とくべつたいぐーってやつだよ」だって赤ちんが仲間だと思ったからここに黒ちんは居るわけだ。

「だけど、まー、間違って食べられないように気を付けてねー」





ごらんあれがきみがこれから生きてゆく夜だ











世界という物は意外と狭いらしい。何万何億平方メートル、地球の面積があるというのに俺の世界は狭すぎる。





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